帳簿書類の保存って倉庫に入れておくだけでOK?

帳簿書類の保存って倉庫に入れておくだけでOK?

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。今日は帳簿の保存についてわかりやすく解説したいと思います。

 当事務所で記帳代行をしているお客様には、決算業務が終了するとその年の帳簿一式を印刷してお渡しし、「これから7年間(欠損金が発生している場合は10年間)、紛失などしないように安全に保存してください」とお願いしています。

 これをお読みの方のなかには、もしかしたら「帳簿書類!?倉庫に入れておいたっけな?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、帳簿書類を保存することは青色申告の要件にもなっているため、いざ税務調査という段階で帳簿書類を提示できなかった場合には、青色申告の承認が取り消される場合もあるため、慎重に保存することが大切です。

 今回は、帳簿書類をどのように保存すれば良いのかについて、国税不服審判所の裁決事例をもとに解説したいと思います。

豪雨により水浸しになった帳簿を廃棄した事例

 近年、台風や記録的な豪雨が増えてきたように思いますが、豪雨で水浸しになった帳簿を誤って廃棄したことに起因して、青色申告の承認が取り消されたため、国税不服審判所で争われた事例が存在します。(平成3年7月2日採決、裁決事例集 No.42 – 147頁)

 公表されている内容からは、豪雨の程度や帳簿がどのような場所に保存されていたかまではわからないのですが、少なくとも帳簿が水浸しになるほどの豪雨であったにも関わらず、この件について国税不服審判所は(1)帳簿書類を防水措置を講じることなく収納していたこと、(2)水浸しになった帳簿に適切な措置を講じていなかったことから、やむを得ない事由とは認められないとして、青色申告の承認取消事由に該当するという厳しい裁決を出しているんです。

 もちろん頑丈な家屋が損壊するほどの豪雨である場合には、帳簿書類の保存は難しいと思いますが、それでも帳簿書類はできるだけ安全な場所で保存し、万が一損傷した場合であっても、安易に廃棄せずに保存しておくことが大切だということですね。

 なお、当事務所ではお客様の帳簿や確定申告書など、当事務所で作成したデータについては、二重のバックアップ体制で保管しており、原本が紛失滅失等した場合であっても、すぐに対応できる体制をとっているのでご安心ください。

帳簿の提示を拒否した事例

 上記の事例からもわかるとおり、帳簿書類の保存とは、ただどこかに置いておくというだけの意味ではなく、十分な配慮をして保存するということなのですが、法人税法や所得税法の条文を読んでみると、青色申告の条件として(1)帳簿書類の備え付けて、(2)取引を記録し、(3)保存することが義務付けられていますが、税務調査官への提示までは明記されていないように見えます。

 では、帳簿書類を備え付けて、取引を記録し、保存しているにもかかわらず、税務調査官への提示を拒否した場合にはどうなるのでしょうか?

 この点についても国税不服審判所で争われた事例があるのですが、国税不服審判所は「帳簿書類の備付け、記録、保存の義務は、帳簿書類を提示する不即不離の関係であるため、担当職員の帳簿書類の提示の求めに応じない場合には、帳簿書類等の備付け等を法令の規定に従って行っていないと評価すべきである」として、青色申告の承認が取消事由に該当するという裁決を出しています。(昭和62年6月3日裁決、裁決事例集 No.33 – 132頁)

 当然のことではあるかもしれませんが、帳簿書類を保存しているだけで税務調査官に見せないということが認められるわけもありません。帳簿書類の備付け等をするということは、税務調査官の求めに応じて、帳簿書類を提示する義務も負っているということですね。

 いかがだったでしょうか?帳簿書類の保存とは「単にどこかに置いておく」という意味ではなく、「十分な配慮をして保存し、かつ、求めに応じてすぐに提示できるようにする」という意味だということですね。もちろん帳簿書類を倉庫で保存していても良いのですが、紛失や滅失、損傷などが無いように配慮して保存し、税務調査官から求めに応じてすぐに提示できるようにしておくことが大切です。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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