固定資産の取得価額を判定する単位とは?国税庁の質疑応答事例から考える判定基準

 こんにちは!浦安の税理士たちばなです。法人や個人事業者が減価償却資産を取得した場合には、固定資産として帳簿に記帳した後に減価償却費を計上することになりますが、取得価額が10万円未満であれば少額減価償却資産、20万円未満であれば一括償却資産として取り扱うこともできます。

 ところが複数の減価償却資産をまとめて取得したようなケースでは「どの単位10万円や20万円未満の判定をすればよいのだろう?」と迷ってしまうこともあります。

取引される単位で判定する

 この点について国税庁からは次のような通達が出されており「通常1単位として取引されるその単位」ごとに判定することとされています。例えばテーブルと椅子4脚が一組の応接セットであれば、テーブルや椅子ごとにバラバラに判定するのではなく、応接セット全体で10万円未満か20万円未満かを判定するということです。

(少額の減価償却資産又は一括償却資産の取得価額の判定)
7-1-11 令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》又は令第133条の2《一括償却資産の損金算入》の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては一の工事等ごとに判定する。

法人税基本通達

(少額の減価償却資産又は一括償却資産であるかどうかの判定)
49-39 令第138条又は第139条の規定を適用する場合において、取得価額が10万円未満又は20万円未満であるかどうかは、通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する。

所得税基本通達

「予定している機能を発揮できるか?」という視点

 ところがこのように説明すると「いやいや、応接セットのテーブルや椅子は別々に購入することもできる」という疑問が生じるかもしれません。確かにテーブルだけ又は椅子だけで購入できるのであれば「別々に判定しても良いのでは?」と思われるかもしれませんが、このような場合には別々に取得したとして「予定している機能を発揮できるか?」という視点から考えなければいけません。

 例えば、応接セットであれば「テーブルはあるけど椅子がない」「椅子が一脚だけある」といった状態では応接セットしての機能を発揮することができませんので、応接セット全体で10万円未満又は20万円未満の判定をすることになります。

 また、国税庁の質疑応答事例では次のように、ワンルームマンションのカーテンは「1部屋ごとに機能を有する」ため、カーテン1枚ごとでも、マンション1棟ごとでもなく1部屋ごとに判定すると説明してます。

ワンルームマンションのカーテンの取替費用
【照会要旨】
 ワンルームマンション200室のカーテンの取替費用800万円は、資本的支出として資産計上を要しますか。
【回答要旨】
 1組として使用されるカーテン(本件の場合は1部屋(室)ごと)の取得価額が10万円未満である場合には、消耗品として損金の額に算入しても差し支えありません。
(理由)
 カーテン1枚では独立した機能を有しませんので、1組として使用される単位(部屋)ごとに取得価額を判定することが相当と考えられます。

国税庁質疑応答事例 法人税

 このほか間仕切り用パネルについては「パネル1枚では独立した機能を有しない」ため1枚ごとに少額減価償却資産の判定をすることができないと説明しています。

間仕切り用パネルに係る少額減価償却資産の判定等
【照会要旨】
 賃借したビルについて間仕切りをすることとなり、その間仕切り用に用いるパネル(反復して撤去・設置が可能なもの)を複数枚取得しますが、当該パネルの取得価額が一枚当たり10万円未満であるときは、そのパネルは、少額の減価償却資産に該当するものとして一時に損金の額に算入して差し支えありませんか。
【回答要旨】
 このような間仕切り用パネルについては、間仕切りとして設置した状態において少額の減価償却資産であるかどうかを判定することが相当と考えられます。
(理由)
 本件の場合のような間仕切り用のパネルについては、通常パネル一枚では独立した機能を有するものではなく、数枚が組み合わされて隔壁等を形成するものですから、個々のパネル1枚ごとに少額の減価償却資産であるかどうかを判定することは相当ではありません。

国税庁質疑応答事例 法人税

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