複式簿記を知らなくても経理の「自計化」はできる?経理の自計化のすすめ

 会社やフリーランスとして事業をしている方が税理士に「記帳代行」を依頼するケースは多いですが、最近では会計ソフトの進化によって「自計化」のハードルが下がってきたように思います。今回は経理を自計化するメリットとデメリット、複式簿記に慣れていない方が自計化するためのコツを解説します。

自計化のメリット

メリット1:自社の経営状態を素早く把握できる

 税理士事務所に記帳代行を委託している場合、当月の入出金データなどを翌月初めに渡したとしても試算表を受け取るのは早くても翌月半ば以降になってしまいます。これに対して自計化によって自社でデータ入力をしていれば、リアルタイムに近いタイミングで財務データを把握することが可能です。

メリット2:数字に強くなり、自社で数字の分析ができるようになる

 記帳代行を依頼している場合、自社に経理のノウハウが蓄積せず「なんとなく試算表を見ているだけ」という状態になりがちです。これに対して自計化によって会計ソフトの操作に慣れてくると試算表の見方が分かってきて財務状況をより正確に把握できるようになりますし、異常値を発見した場合も会計ソフトを使ってすぐに原因分析できるようになります。

メリット3:税理士報酬を節約できる

 一般的に税理士に支払う月額報酬は「顧問料」と「記帳代行料」の二種類から成り立っていますが、自計化に成功すれば記帳代行料の支払いがなくなりますので経費が節約できます。ただし自計化したものの間違いが多いと税理士事務所のチェックに大きな工数がかかってしまい値引きに応じてもらえない場合もあるので、正しい経理処理ができるようにする必要があります。

自計化のデメリット

デメリット1:手間がかかる

 記帳代行では入出金簿や通帳のコピー、領収書などを税理士事務所に渡すだけだったのに対して、自計化では自社で帳簿の記帳をしなければならないためどうしても手間がかかります。ただし、最近ではネットバンキングやクレジットカードなどから入出金データを取り込める(同期できる)会計ソフトもあるため、ITツールを上手に活用すればそれほど大きな手間かけずに自計化することも可能です。

デメリット2:簿記の知識が必要

 自社で正しく記帳するため「貸方」「借方」など最低限の簿記知識が必要になります。ただし丁寧にサポートしてくれる税理士事務所も多いため「自計化したい」というやる気があればすぐに慣れると思います。

デメリット3:PCや会計ソフトが必要になる

 自計化では自社でパソコンや会計ソフトを準備する必要があるため、そのための費用かかってしまいます。ただし、小規模な法人や個人事業主であれば基本的な機能がそろった会計ソフトさえ使えれば大丈夫なため大きな出費にはならないと思います。

クラウド会計を利用した自計化事例

 経理業務の自計化というと複式簿記に慣れていないと出来ないと思われがちですが、税理士事務所と上手に役割分担することによって初歩的な簿記知識しかなくても自計化を始めることが可能です。

 具体的には例えば、クラウド会計を使って初期設定などは税理士事務所に担当してもらい、事業者は(1)ネットバンキングやクレジットカードなどから取り込まれる入出金データに「勘定科目」と「摘要」を入力すること、(2)現金の入出金について「日付」「金額」「勘定科目」「摘要」を入力することあたりから始めると良いと思います。

 これであれば難しい簿記知識は不要で、それこそお小遣い帳のような感覚で「これは電気代だから、勘定科目は水道光熱費で摘要欄は東京電力〇月分料金」といったように入力するだけなので簡単です。それても会計ソフトに触れていると少しずつ慣れてきて数字の見方などがわかってくると思います。

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