会社設立後によくある5つの後悔|銀行口座・社会保険・税金・経理の注意点

 旧商法の時代は会社の設立には最低資本金制度があって株式会社であれば1,000万円、有限会社であれば300万円が必要でしたが、今は資本金が1円でも会社を設立できるようになったため以前よりも手軽になりました。

 でも会社設立後に「こんなことは知らなかった」という声も聞きますので、よくある後悔を5つ紹介します。

銀行口座が開設できない

 銀行口座の不正利用を防ぐためここ数年銀行口座開設の審査が厳しくなっており、「会社の銀行口座が開設できない」という話をよく耳にします。もちろん新規に設立された会社であっても、資本金の額が大きく事務所や工場が物理的に存在するなどの場合には銀行から信用されやすく、比較的口座を開設しやすいのですが、「資本金の額が小さい」「バーチャルオフィスで会社登記」などの場合には苦戦する会社が少なくありません。

 なかにはいくつもの銀行や信用金庫に相談したものの「第1期の決算書と確定申告書を持ってきたら審査します」と言われてしまい「銀行口座なしにどうやって事業をするんだ」と途方に暮れる会社もあります。

 銀行口座が開設できないと会社の設立直後から死活問題になってしまう場合もあります。スムーズに銀行口座を開設するためにも資本金の額が小さすぎないことや、事務所の賃貸借契約書、会社案内のパンフレット、ウェブサイトなどで会社の実態を説明できるようにしておくことが大切です。

社会保険の強制加入

 個人事業であっても一定の要件を満たす場合には社会保険の強制適用事業所になりますが、従業員が5人未満などの場合には社会保険への加入は強制されません。したがって小規模な個人事業であれば社会保険に加入しないこともできますが、これに対して会社の場合は、社長1人だけの会社であっても、役員報酬や給与を支給している場合には、原則として社会保険への加入が必要になります。

 なお、社会保険料率は毎年見直されます。協会けんぽの場合、健康保険料率は都道府県支部ごとに異なり、厚生年金保険料率とあわせると、会社・本人双方に大きな負担が生じます。会社負担分だけでも給与の15%前後になることが多いため、「そんな負担が生じるなんて知らなかった……」とならないように、創業計画の段階から織り込むようにしてください。

赤字でも納税しないといけない

 個人事業では所得金額が0円であれば所得税等も0円になりますが、会社の場合はどれほど大きな赤字であったとしても住民税均等割が課税されてしまいます。この金額は東京23区に本社を有する会社であれば最低でも7万円(資本金1,000万円以下、従業者数50人以下)で赤字の会社にとっては痛い出費です。

経理業務が複雑になる

 個人事業を行っていた方が法人成りをして感じることの1つに「経理業務が複雑になること」があります。これまでフリーランスとして従業員を雇わずに事業を行っていたのであれば、例えば給与計算や年末調整は不要だったはずですし、決算・申告もそれほど難しくなかったと思います。

 一方で会社を設立すると、社長1人だけの会社であったとしても会社が支払う役員報酬に対して源泉徴収や年末調整、社会保険関連の手続きが必要になってきます。

 また、会社の税務申告は個人事業とは比較にならないくらい複雑で、これまで自分で所得税の青色申告をしていた方であっても、通常は顧問税理士に税務会計業務全般のチェックや決算・申告作業を依頼する必要が出てきます。

事業をやめるのにも手間とコストがかかる

 個人事業の場合「開業届」を税務署に提出するだけで簡単に開業できましたが、会社の設立にはさまざまな手続きがあって手間とコストがかかります。そして、このことは廃業についても同様で、個人事業であれば簡単に事業をやめられるのに対して、会社の場合はやめるにも手間とコストがかかります。

 参考までに以下は株式会社の解散から清算までの手続きなのですが数多くの手続きが必要で、通常は税理士や司法書士のサポートが必要になってきます。

会社設立は事前準備が大切

 ここまで会社設立後によくある後悔を紹介してきましたが、会社を設立すること自体が悪いわけではありません。会社には、信用力の向上や事業拡大のしやすさなど、個人事業にはないメリットもあります。

 ただし、会社を設立すると、銀行口座の開設、社会保険料の負担、赤字でも発生する税金、経理業務、廃業時の手続きなど、個人事業とは異なる負担も生じます。会社設立後に後悔しないように、事前に全体像を確認しておくことが大切です。

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