会社の税金というと、「利益が出たら税金がかかる」というイメージが強いかもしれません。たしかに法人税などは、基本的には利益に対して課税されるため、会社の利益が大きいと、税額も大きくなることが多いです。
そして、税額が大きくなると資金繰りの負担になるため、利益の一部を納税資金として準備しておく必要があります。それでも黒字であれば、経営者も「今年は利益が出ているから、税金もそれなりの金額になるだろう」と、ある程度は想定していると思います。また、業績が良ければ、金融機関からの融資を受けやすい面もあります。
消費税は利益が出ていなくても納税額が大きくなることがある
一方で、消費税は利益に対してかかる税金ではなく、会社が赤字であっても税額が大きくなることがあるため、資金繰りに注意が必要です。
簡易課税を適用せず、非課税売上などもない最も単純なケースで説明すると、納付税額は、売上にかかる消費税から、仕入れや経費にかかる消費税を差し引いて計算します。

たとえば、課税売上高が1億円、経費も1億円かかっていて、利益がゼロの会社があったとします(金額はいずれも税抜き、消費税率は10%、課税売上割合は100%で、課税仕入れにかかる消費税は全額控除できるものとします)。
利益がゼロなので、直感的には税金はあまりかからないように思えるかもしれませんが、経費の内訳が、人件費3,000万円、減価償却費1,000万円、その他の費用(消費税のかかる仕入れや経費など)6,000万円だった場合はどうでしょうか。
この場合、売上にかかる消費税は1,000万円です。一方、人件費や減価償却費には消費税はかからず、仕入れや経費にかかる消費税は600万円になります。そのため、この会社は利益はゼロであったにもかかわらず、納付税額を計算してみると400万円ということになります。
(計算式)納付税額400万=売上にかかる1,000万円-仕入れや経費にかかる消費税600万円
なお、設備などを購入したときは、要件を満たせば、その購入代金にかかる消費税も、購入した日の属する課税期間において仕入税額控除の対象になります(このケースでは設備投資などはないものとして計算しています)
経営者からすると、「利益が出ていないのに、こんなに消費税を払うの?」と感じるかもしれません。特に、決算の直前や申告時期に初めて知った場合は、かなり重く感じるはずです。
簡易課税では、赤字でも納付税額が大きくなりやすいです
簡易課税を選択している会社では、次の計算式のように、実際の仕入れや経費ではなく、課税売上高を基に仕入控除税額を計算するため、会社の黒字・赤字とは直接関係なく納付税額が決まります。

たとえば、簡易課税を選択しており、課税売上高が3,000万円、経費が4,000万円で、1,000万円の赤字となっている会社があったとします。ここでも、金額はいずれも税抜き、消費税率は10%とします。
大きな赤字ですので、直感的には税金はあまりかからないように思えるかもしれません。しかし、簡易課税の仕入控除税額は、実際の仕入れや経費の金額に基づいて計算されるわけではなく、課税売上高にもとづいて計算されます。
たとえば、この会社の課税売上高が、すべて第5種事業に該当するサービス業によるものであれば、みなし仕入率は50%になります。売上にかかる消費税が300万円の場合、仕入控除税額はその50%に相当する150万円とみなされるため、納付税額は150万円となります。
(計算式)納付税額150万=売上にかかる300万円-売上にかかる消費税300万円×50%
この例では、1,000万円という大きな赤字にもかかわらず、消費税の納付税額は150万円となります。実際の利益や経費の金額ではなく、課税売上高とみなし仕入率を基に納付税額を計算する点が、簡易課税で注意したいところです。
なお、このケースでは第5種事業としてみなし仕入率50%としましたが、みなし仕入率は売上の種類によって異なるのでご注意ください。
当事務所では、毎月の試算表に未払消費税を計上しています
消費税は、決算のときにまとめて計算するとインパクトが大きくなりがちです。そのため、当事務所では原則として、毎月の試算表で消費税額を計算し、未払消費税として計上するようにしています。
もちろん、前受金や前払金などがある場合は、資産の引渡しやサービス提供の時期に応じて調整が必要になることがあります。それでも、毎月の時点で、おおよその消費税額を把握できるようにしておくことには意味があります。「今の時点で、消費税はどのくらい積み上がっているのか」。これが分かっているだけで、決算時の驚きはかなり減ります。
また、お客様によっては、納税に備えるため、未払消費税に近い金額を、通常使用する銀行口座とは別の口座で管理している方もいます。
売上代金には、消費税相当額も含まれて入金されます。そのため、通帳残高だけを見ると、全額が会社で自由に使える資金のように見えてしまいますが、その一部には、後で納めることになる消費税相当額が含まれています。その分まで運転資金として使ってしまうと、納税時期に資金繰りが苦しくなることがあるので注意が必要です。
なお、この記事では、説明を分かりやすくするため、消費税の細かな規定を省いています。実際の納付税額は、課税売上割合、貸倒れ、インボイスの保存状況などによって変わります。

千葉県浦安市の税理士。
浦安市を拠点に、税務顧問、決算申告、会社設立後の税務、法人成り、月次決算の早期化、経理体制づくり、事業計画の策定、資金繰り相談、経理の自動化・効率化などを支援しています。
当事務所のより詳しい情報は、「浦安の税理士|橘隆行税理士事務所」のトップページをご覧ください。

-840x348.jpg)
-200x200.jpg)
-200x200.jpg)
-200x200.jpg)



-200x200.jpg)