税金を「増やしたい」という相談が、けっこう好きです

 税理士をしていると、いろいろな相談を受けます。その中でも最も多いのは、もちろん税金に関する相談です。「何か節税できることはありませんか」「決算前にできることはありますか」といった相談は、税理士としてよく受けます。もちろん、必要以上の税金を払わないようにしなければなりませんし、適法な節税については、税理士として常に考えています。

 ただ、税理士への相談には、もう一つ別の種類があります。それは、少し変な言い方かもしれませんが、税金を「増やしたい」という相談です。

税金を増やしたい相談とは?

 「税金を増やしたい」と言うと、少し変に聞こえるかもしれません。もちろん、必要以上に納税したいという意味ではありません。簡単に言うと、「事業を拡大して、利益をもっと出したい」という相談です。

 事業を拡大して会社の利益が増えれば、一般的には税負担も増えます。それでも、税金ではなく、会社を成長させることに集中している経営者がいます。

 こういった経営者とお会いすると、「新しくこんなことをやりたい」「この地域でこういうサービスを広げたい」「人を採用して、こういう体制にしたい」「数年後にはこういう会社にしたい」といった話が次々と出てきます。なかには、毎月の打ち合わせで1時間以上お話しくださる経営者もいます。前向きな話は、税理士としても聞いていてとても楽しいです。

 私も、そうした話にうなずきながら、商品やサービスの詳しい内容、資金繰り、従業員の採用計画などについて質問し、一緒に考えます。もちろん、税務の視点も常に持っており、必要に応じて税金に関するアドバイスも行います。

 でも、社長の頭の中にある未来を聞かせてもらい、その実現に向けて、現在の数字やお金の流れを一緒に確認していく時間は、とても楽しく、充実しています。

毎回、資料を作ってきてくれる社長もいます

 お客様の中には、打ち合わせのたびに資料を作ってきてくださる方もいます。「今考えている事業計画」「新しい商品やサービスの内容」「売上や利益の見込み」「採用の予定」などについて、資料を使って詳しく説明してくださいます。

 一度、その経営者に「毎月、資料を作るのは大変ではありませんか?」と聞いてみたことがありますが、「頭の中を整理するのに役立つし、考えること自体が楽しい」というお話でした。こちらとしても、そのような話を聞くのがとても楽しみです。

 もちろん、計画どおりにいくことばかりではありません。「計画どおりに売上が伸びない」「利益が思ったほど残らない」といった相談もよくあります。それでも、そうした話も含め、社長が思い描く未来を見せてもらいながら、その実現に向けて一緒に考えることにやりがいを感じます。

税金を減らす視点と、会社を伸ばす相談

 税金を減らしたいという視点も、もちろん大切です。何もしなかった結果、必要以上の税金を納めることになったり、本来利用できるはずの節税制度を利用できなかったりすれば、事業の足を引っ張ります。そうならないように支援することは、税理士の大切な仕事です。

 ただ、税金を減らしたいという視点は、どうしても「守り」の話になりがちです。税金のことは信頼できる税理士に任せ、経営者には、会社を伸ばすという「攻め」の部分に力を注いでほしいと思っています。そんな二人三脚が経営では大切だと思います。

 税理士というと、税金を計算する人、申告書を作る人というイメージがあるかもしれません。もちろん、それは税理士業務の根幹です。でも、顧問税理士は、経営者の考えをお聞きし、「会社をどうしたいのか」「何に挑戦したいのか」といったことを理解することで、どのようなサポートができるかを考えます。

 数字の話だけでなく、社長の頭の中にある未来の話も聞かせてもらえるとうれしいです。

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