帳簿は何のためにある?江戸時代の豪商に学ぶ、経営に使う帳簿の見方

 江戸時代の商家では、大福帳や売掛帳、在庫を管理する帳簿などを使い、商売の動きを記録していました。当時の日本にはまだ西洋式の複式簿記はありませんでしたが、「誰にいくら売ったか」「いくら回収できていないか」「商品がどれだけ残っているか」を把握する必要があったからです。

 もちろん、現代の会計ソフトほど便利な道具ではありませんでしたが、豪商にとって帳簿は、商売を守り、伸ばしていくための道具でした。

帳簿は「商売のため」に使われていた

 豪商が帳簿をつけていた理由は、とても実務的です。たとえば、「売掛金の回収漏れを防ぐため」「在庫をごまかされないため」「番頭や支店の動きを管理するため」「どの商売が儲かっているかを見るため」といった理由です。

 帳簿がなければ、誰にいくら売ったのか、どれだけ回収できていないのか、商品がどれだけ残っているのか、どの支店が利益を出しているのかも分かりません。商売が大きくなればなるほど、経営者の頭の中だけでは管理できなくなります。だからこそ、帳簿が必要でした。

帳簿は「申告書を作るためだけ」のものではない

 現代では、帳簿や決算書というと、「税務署に出すため」や「銀行に見せるため」というイメージが強いかもしれません。もちろん、それも大切です。税務申告は必要ですし、金融機関に会社の状態を説明するためにも決算書は重要です。

 ただ、それだけで終わってしまうと、帳簿の使い方としては少しもったいないと思います。本来、帳簿は経営者が事業に使うためのものです。

帳簿を見ると、商売の状態が見えてくる

 帳簿を毎月きちんと見ると、たとえば、「どの商品・サービスで利益が出ているか」「黒字化のために必要な売上高はいくらか」「在庫が増えすぎていないか」といった会社の中で起きていることが見えやすくなります。

 もちろん、小規模な会社の経営者であれば肌感覚でもある程度分かっていると思います。ただし、毎月、数字で見ておくと、「どこが」「どう」変わったのかを正確に確認できます。帳簿は、肌感覚を数字で確認するための道具です。

 毎月の数字を見ていれば、「利益は出ているのか」「お金は残っているのか」「売掛金は回収できているのか」「在庫は増えすぎていないか」といった情報を数字で確認できるので、経営判断がしやすくなります。

 帳簿は、過去を記録するだけのものではなく、経営者が事業を守り、次の一手を考えるためのものです。帳簿を税務申告のためだけに使うのではなく、毎月の経営判断に使える形で整えていくことが、経営者にとって大切です。

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