会社設立で必要な税務手続きとは?届出期限と注意点を税理士が解説

 会社を設立すると、税務署や都道府県、市町村などに対して、さまざまな税務手続きが必要になります。もしかしたら「税金のことなんて決算が近づいてから考えればいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、税務手続きの中には、思いのほか期限が早く、遅れてしまうと税務上不利な取扱いになるものもあります。

 税金のことよりも、まずは事業を軌道に乗せることを優先したいという気持ちもわかります。しかし、税務手続きも大切な創業手続きの一部ですので、余裕をもって準備してください。

 なお、会社の状況によって必要な手続きは異なります。この記事では会社設立時に行う「主な」税務手続きを紹介しますが、ここに記載したもの以外にも手続きが必要になる場合があります。また、会社によっては、ここで記載する手続きが不要な場合もあります。会社を設立したら、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

税務署への手続き

(1)会社設立の届出

・法人設立届出書
 会社が設立されたことを届け出る手続きです。会社が設立登記されたことは税務署も知っていますが、それだけではなく連絡先や事業年度、営んでいる事業なども届け出ます。

法人設立届出書の概要

(国税庁サイト)内国普通法人等の設立の届出

(2)青色申告に関する手続き

・青色申告の承認申請書
 青色申告とは一定の帳簿書類を備え付けて取引を記帳、保管することを条件に税務上の特典(有利な取扱い)が受けられる制度をいいます。例えば青色欠損金の繰越控除や一定の減価償却資産を取得した場合の特別償却や税額控除なども青色申告の特典なのですが、青色申告することを税務署長に承認してもらうための申請手続きです。

 会社設立初年度は欠損金が発生したり、高額な減価償却資産を取得するようなケースも多いため「手続が遅れたから特典が受けられない…」ということのないように注意してください。

青色申告の承認申請書の概要

(国税庁サイト)青色申告書の承認の申請

(3)源泉所得税に関する手続き

・給与支払事務所等の開設届出書
 給与等を支給する場合には所得税(復興特別所得税を含む)を源泉徴収して納付する義務がありますが、給与等の支払を開始(給与の支払を取り扱う事務所を開設)する場合には所轄税務署長に届け出る必要があります。

給与支払事務所等の開設届出書の概要

(国税庁サイト)給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
 給与等から源泉徴収した所得税(復興特別所得税を含む)は、原則として徴収した日の翌月10日までに納付しなければなりませんが、給与の支給人員が常時10人未満の場合には、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金から源泉徴収をした税額を年2回にまとめて納付する特例が認められており、この特例を受けるための手続きです。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の概要

(国税庁サイト)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

(参考)源泉所得税の納期
 原則:支払日の翌月10日
 特例:1月から6月支払分は7月10日、7月から12月支払分は翌年1月20日

(4)消費税・インボイスに関する手続き

 会社設立直後の消費税は、「免税事業者のままとするか」「あえて課税事業者を選択するか」「適格請求書発行事業者の登録を受けるか」「本則課税と簡易課税のどちらで申告するか」をセットで検討する必要があります。消費税の手続きは専門的な判断を含むため、事前に税理士へ相談することをおすすめします。

 新しく設立した会社は、資本金が1,000万円未満で、特定新規設立法人にも該当しない場合、原則として設立第1期は消費税の納税義務が免除されます。第2期についても免税となる場合がありますが、特定期間の課税売上高や給与等支払額の状況によっては課税事業者となることがあります。また、適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、資本金1,000万円以上で設立した場合、特定新規設立法人に該当する場合などには、消費税の申告が必要になります。

・適格請求書発行事業者の登録申請書
 取引先にインボイスを交付する必要がある場合に検討する手続きです。インボイス発行事業者の登録を受けると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても課税事業者となり、登録日以後の課税取引について消費税の申告が必要になります。

適格請求書発行事業者の登録申請書の概要

(国税庁サイト)適格請求書発行事業者の登録申請書

・消費税課税事業者選択届出書
 免税事業者が、消費税の還付を受けたい場合などに、あえて課税事業者になるための届出書です。例えば、設立初年度に高額な設備投資がある場合や輸出取引がある場合には検討対象になります。ただし、一度選択すると原則として一定期間は免税事業者に戻れず、高額な資産を取得した場合にはさらに制限が生じることがあります。

消費税課税事業者選択届の概要

(国税庁サイト)消費税課税事業者選択届出手続

・消費税簡易課税制度選択届出書
 課税事業者が、本則課税ではなく簡易課税により消費税を計算したい場合の届出書です。原則として基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合に選択できます。

消費税簡易課税制度選択届出書の概要

(国税庁サイト)消費税簡易課税制度選択届出手続

 また、上記のほかに、資本金1,000万円以上で設立した場合には「消費税の新設法人に該当する旨の届出書」、一定の親会社等との関係により特定新規設立法人に該当する場合には「消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書」が必要になることがあります。

都道府県、市町村への手続き

・法人設立・設置届出書
 会社が設立されたことを都道府県や市町村に届け出る手続きです。

法人設立・設置届出書の概要

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