月次推移表とは?「経理のミス」や「想定外のこと」は推移表で見つかる

試算表だけでは異変に気づきにくい理由

 これまで25年以上会社の数字を扱う仕事をしていますが、月次決算で試算表を作って数字を確認していても、その月の数字だけを見ていると、会社で起きている異変に気づきにくいと感じることがあります。

 たとえば、先々月と先月の外注費がそれぞれ900万円と950万円、今月が1,000万円だったとします。ところが、1,000万円という数字だけを見ていても、外注費の金額が徐々に増えていることには気づかないかもしれませ。

 しかし、過去の数字を月別で比較してみると、そのような変化に気づきやすくなります。このように、月ごとの数字を横に並べて確認する資料が「推移表」です。

「経理ミス」や「想定外のこと」の発見に役立つ

 推移表を見ていると、「今月の外注費は大きく増えた」「消耗品費が6カ月連続で増えている」「毎月発生するはずの経費が今月は計上されていない」「売上は増えてきているが、粗利はそれほど増えていない」「特定の月だけ利益が大きく変動している」といった変化に気づきやすいです。

 もちろん、推移表で数字が大きく変動しているからといって、必ずしも問題があるわけではありません。調べてみた結果、「業務の一部を外注に切り替えた」「新店舗の開店に伴い、消耗品費が増えている」といったように、当初から想定していた変動かもしれません。

 ところが、「同じ請求書を二重に入力していた」「勘定科目を間違えていた」「毎月計上するはずの請求書が届いていなかった」といったように、経理のミスが見つかることもあります。また、粗利率が徐々に悪化していたり、予定していた以上の業務を外注業者に依頼していたりするといった異変に気づくこともあります。

 あってほしくはないことですが、会社が把握していない支出や、不正な経費処理を発見するきっかけになることもあります。

試算表と推移表の使い分け

 「試算表」は、一定時点の資産・負債の残高や、一定期間の収益・費用を一覧で確認する資料であるのに対し、「推移表」は月ごとの数字の変化を確認する資料で、両者には、主に次のような違いがあります。

 月次決算のチェックでは、まずは試算表を使って、預金、売掛金、買掛金、売上高などの金額が、通帳や売掛帳、買掛帳、売上帳などの元資料と一致しているかを、1つ1つ丁寧にチェックし、次に推移表を使って異常値を発見する方法が有効だと思います。

 特に、売上高、売上原価、経費といった、損益計算書の勘定科目については、推移表を使って月別の増減を入念にチェックするとよいと思います。

月次推移表を見るときのチェックリスト

 最初のうちは推移表の使い方に慣れないかもしれませんが、そこで、例えば次のように「どの部分を重点的にチェックするのか」を決めて、毎月チェックしてみるとよいと思います。

(1)売上、売上原価、粗利率に大きな変化はないか
(2)人件費、外注費など、主要な経費に大きな増減はないか
(3)家賃、リース料、顧問料など、毎月発生する費用が抜けていないか
(4)消耗品費、接待交際費、広告宣伝費の中に大きく増えている経費項目がないか
(5)仮払金、未払金、売掛金、買掛金の残高が不自然に残っていないか

 最初は慣れなくても、だんだんと自社の数字の特徴を把握できるようになれば、独自の視点でチェックできるようになると思います。

推移表を経営判断に活かす

 このように単月の試算表だけでは気づきにくい違和感も、推移表を使って、数か月分を横に並べることで見つけやすくなります。しかし、推移表は、単に過去の数字を眺めるためだけの資料ではありません。大切なのは、単に数字が増えたことや減ったことを見るだけではなく、「なぜ、いつもと違う動きをしているのか」を確認することです。

 推移表は、経理処理のミスや異常な内容を早期に発見し、会社の変化を把握して、次の経営判断につなげるための道具です。毎月の試算表が完成したら、今月の数字だけでなく、ぜひ過去の数字と横に並べて確認してみてください。

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