「清酒」と「日本酒」は何が違う?食品の地域ブランド戦略について

 こんにちは!浦安の税理士たちばなです。仕事柄、情報収集の一環として国税庁のウェブサイトに新しい情報が出ていないか日々チェックしていますが、国税庁の新着情報に「『清酒』と『日本酒』について」というちょっと面白い文書を見つけたので紹介したいと思います。

 「なんで国税庁がお酒の話をしているの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、財務省設置法では「国税庁は、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達及び税理士業務の適正な運営の確保を図ることを任務とする」としていて、国税庁や各国税局に専門部署が設置されるとともに、東京だと神田税務署や品川税務署などの一部の税務署には酒類指導官が設置され、酒類の適正な販売管理の確保や公正な取引環境の整備などの仕事をしているからです。

『清酒』と『日本酒』の違い

 私たちは普段の生活で清酒と日本酒の違いをあまり意識せずにいるかもしれませんが、この文書を発表した国税庁及び日本酒造組合中央会によると「清酒」(Sake)とは米、米麹、水を主な原料として発酵させたものをいい、そののなかでも特に日本のお米を使って日本国内で醸造したものを「日本酒」(Nihonshu / Japanese Sake)と呼ぶそうです。

 つまり、日本の四季と結びついて発展し、伝統的に国民生活と文化に深く根付いていきたという歴史的・文化的背景がある日本酒を、外国産米を使ったり海外で醸造された清酒とは区別することによってブランド化しようとしているわけです。

 したがって、たとえ伝統的な製法で醸造した清酒であっても醸造場所が海外であったり、海外のお米を使っていた場合には「日本酒」とは名乗れないことになります。

お酒の地域ブランド戦略

 お酒の地域ブランド戦略として最も有名なのはやはり「シャンパン」だと思います。シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で生産されたブドウのみを使い、伝統的な製法で製造されたスパークリングワインにのみ許される呼称で、フランスの法律では基準を満たさないものをシャンパンとして販売することを禁止しています。

 シャンパンの歴史を調べてみると面白いことに冷涼なシャンパーニュ地方はワイン用のブドウ生産にはあまり適していなかったそうです。そしてワインの醸造では冬の寒さで発酵が一旦ストップしたのち春の温かさで再び発酵が始まることによってワインが自然に発泡してしまうことに悩まされてきたと言われています。ところがワインが自然に発泡してしまうという欠点を逆手にとってその品質向上を追求したことが、後のシャンパンの完成につながったそうです。

 つまりシャンパンはシャンパーニュ地方の冷涼な気候を利用して発展した飲料というわけですが、このことは日本酒が日本の四季と結びついて発展したことにも通じるように感じます。近年では海外にも日本酒のファンが多くいて、私の外国人の友人の中にも日本酒が大好きという人がいます。日本酒も将来シャンパンのようなブランドの確立に成功すると良いですね。

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