会社の重荷になる資産とは?設備投資で失敗しないために見るべきポイント

設備投資が会社の重荷になるイメージ

 事業会社の財務部門にいたとき、CAPEX予算を作っていました。最初は「CAPEX予算って何?」と思うほどピンときませんでしたが、CAPEX(Capital Expenditure)とは設備投資のことで、設備投資は長期にわたって費用や支出を発生させるため、単年度の経費予算よりも慎重に検討する必要があります。

資産が会社にとって「マイナス」になることもある

 「新しい機械の導入で生産性が上がる」「営業車両の購入で営業範囲が広くなる」「IT機器の導入で作業効率が改善する」といったように、設備投資によって取得する建物、機械、車両、器具備品などは、会社を成長させるために欠かせない資産になります。

 しかし、資産だからといって、必ず会社に利益をもたらすとは限りません。たとえば、「維持費だけがかかっている製造設備」「多額の借入れをして建設したものの、十分に利用されていない建物」は、帳簿上は資産であっても、実態としてはむしろ会社の経営を圧迫しています。

 つまり、会社にとって重要なのは、資産を「持っていること」ではなく、その資産が「利益に貢献していること」です。

設備投資をすると中長期的にさまざまなコストが発生する

 設備投資をするときには、「手元資金で賄う」「借入れを利用する」「補助金を活用する」「購入せずにリースを利用する」など、資金の調達方法や設備の利用方法を検討します。しかし、設備投資では、導入時の資金だけでなく、中長期にわたってさまざまなコストが発生します。

 代表的なものが減価償却費です。例えば、耐用年数が50年の自社ビルを建築すれば、売却や除却などをしない限り、原則として50年間にわたって減価償却費が発生します。そのほかにも、修繕費、保守料、保険料、固定資産税、燃料費、電気代などがかかります。

 つまり、設備投資は「買ったら終わり」ではなく、その後も長期にわたって費用が発生するため、中長期的な計画に基づいて行うことが大切です。

 設備投資による売上増加や費用の減少が、設備投資によって生じる費用を上回るのであれば、その設備投資によって取得した資産は会社を強くします。

 一方で、「売上の増加や費用の減少があまり見込めない一方で、大きな維持費や修繕費がかかる資産」「処分しようとしても売却価格がつかず、むしろ処分費用がかかる資産」は、会社を強くするどころか、利益の減少や資金繰りの悪化を招く原因になります。

大切なのは購入資金だけではなく「回収期間」と「投資利回り」

 設備投資を検討するときに大切なのは、購入資金だけではありません。将来発生する費用も含めて、「何年程度で投資を回収できるのか」「投資リスクに見合うだけの利回りを確保できる見込みがあるか」も検討しなければなりません。

 例えば、次のケースのように、設備投資による売上の増加や費用の削減によって得られる利益と、新たに発生する減価償却費、保守料、租税公課などの費用、設備の使用期間などを含めて、事前にシミュレーションしておく必要があります。その際、会計上の利益を検討する場合は減価償却費を考慮しますが、投資の回収期間は、実際の入出金に基づくキャッシュフローで計算します。

設備投資シミュレーション

気を付けたい失敗パターン

 設備投資は、多額の資金を伴う意思決定です。一度購入すると、あまり使わないからといって簡単に元に戻せない場合も多く、その後、数年から数十年にわたって費用や支出が継続して発生します。

 ときどき耳にするのが、「補助金が使えるから買う」「税金対策になるから買う」といった理由だけで、投資判断をしてしまうケースです。もちろん、補助金や税金面の効果も大切です。しかし、設備投資の本来の目的は、会社の利益や生産性を高めることです。

 補助金を受け取れたり、税負担が少し軽くなったりしても、その後の維持費や借入返済によって資金繰りが苦しくなってしまえば、会社にとって良い投資とはいえません。だからこそ、「回収期間」と「投資利回り」を検討したうえで、投資判断をすることが大切です。

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