これからの税理士事務所とは?

 町の税理士事務所と言えば以前は大量の書類に囲まれた職員が作業をしている光景が一般的でしたが、最近ではIT化を推進する事務所とそうでない事務所で二極化が進んでいるように感じます。

 ある税理士事務所の職員は「IT化によって入力作業が激減した」と話す一方で、別の事務所の職員は「20年前から何も変わっていない」と話しています。代表税理士の考え方によって事務所のスタイルは大きく変わると思いますが、新しい技術を積極的に導入していきたいと考えている私が考えるこれからの税理士事務所のあり方をお話ししたいと思います。

ITとペーパーレス

 税理士事務所の中には今でも入出金台帳や領収書などの書類を顧問先から預かってきてそれを入力するいわゆる記帳代行業務を中心にしている事務所も多いと聞きますが、遅かれ早かれIT技術の発展によって税理士事務所の業務は大きく変化すると考えています。

 そんな私も開業直後は「個人の税理士事務所で使えるITツール」について詳しくなかったためなんとなく有名という理由だけで従来のインストール型会計ソフトを導入しましたが、その後少しずつITツールについて学んでいき、現在では次のようなツールを使用しています。

現在使用している主なITツール
会計ソフト:freee(MFクラウドと弥生会計もサブとして使用)
給与計算ソフト:人事労務freee(MFクラウドと弥生給与もサブとして使用)
ビデオ会議ツール:Google Meet、Zoom
チャットツール:Charwork
データ管理:Google Workspace

 特に先進的な取り組みをしているわけではなく一般的なITツールを導入しているに過ぎないのですが、それでもこれらを導入することによって(1)正確化(ミスの減少)と(2)省力化(作業時間が短縮)のメリットを感じます。また、省力化によって生まれた時間を使って各顧問先の事を考える時間が増えたというメリットも実感しています。

 さらにIT技術の導入は事務所にペーパーレス化をもたらし、当事務所に来所された方々からは「税理士事務所にしては書類が非常に少ないですね」と驚かれることがあります。しかしそう遠くない未来には「税理士事務所にしては」という言葉がなくなっていき、多くの税理士事務所でも当たり前のように紙がほとんどないというい状態になっていくと思います。

高付加価値なサービス

 このように現在税理士事務所の業務スタイルは大きな変化を遂げようとしており、既にfreeeやMFクラウドに代表されるクラウド会計によって単純作業は大幅に削減され始めています。そしてこの流れはAI技術の発展によってますます進むものと考えています。

 ではこのような流れに対して税理士事務所がどのように対応すべきかと言えば「低価格事務所化」と「高付加価値事務所化」の二種類があると考えています。低価格事務所とは「記帳と申告」という最低限の業務をIT技術を利用することによって低価格で提供する事務所のことで、高付加価値事務所は省力化によって生まれた時間を利用してより高付加価値なサービスを提供する事務所のことです。

 この点について個人的にはIT技術の発展を「単純作業から解放される好機」と捉えてより高付加価値なサービスを提供することが専門家として正しい姿だと考えていますし、むしろそれが本来の税理士事務所のあるべき姿だったと考えています。高付加価値の具体例としては(1)顧問先との緊密なコミュニケーションによるサービスの向上(2)高度な税務案件への対応(M&Aや国際税務など)(3)サービス提供領域の拡大(管理会計のノウハウ提供など)などが考えられます。

職員の待遇改善

 先述のとおりこれまでの税理士事務所では記帳代行を始めとする単純作業を安い価格で下請する労働集約的なビジネスに注力するケースが多く、それによって職員の待遇があまり良くないというケースが見受けられました。しかしこれからの税理士事務所は単純作業を減らし、知識集約的なビジネスに変化させることによって職員の待遇も改善させていかなければならないと考えています。

 税理士事務所の職員は会計や税法、経営といった専門的な内容を学んだ人たちであるにも関わらず労働集約的な業務に終始し、その知識や経験を十分に活かすことができないのは本当にもったいないことです。IT技術の発展によって単純作業から解放されたら、より高付加価値なサービスの提供に注力し、待遇を改善することが大切ではないでしょうか。

まとめ

 今はまさに税理士業界は大きな変革を遂げようとしている最中ですが「ITとペーパーレス」「高付加価値なサービス」「職員の待遇改善」の三つがこれからの税理士事務所にとってキーワードになっていくと考えています。当事務所でも時代の流れに取り残されないように新しいものを積極的に取り入れる姿勢を持ち続けていきたいと思います。

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