英語が苦手な税理士が外資系で8年間働いた体験談

 外資系企業というと帰国子女や留学経験者、TOEIC満点といった英語の達人ばかりが働いていると思われがちですがそんなことはありません。もちろん外資系企業の社内にはそういった英語の達人が普通にいますが、英語を全く使わない部門もあります。では「財務経理部門は?」と聞かれると私のいた会社では比較的英語を使う機会が多かったと思います。

英語が大嫌いだった

 学生時代から英語の勉強が嫌いでもちろん英語圏への留学経験などなく、それどころかハワイやグアムなどを含めて英語圏の国へは観光で行ったことすらありませんでした。それでもなんとか大学までは卒業したわけですが、その後は英語を絶対に使うことがない(だろうと当時信じていた…)税理士になりました。ところがその後転職先を探していたある日、知り合いから「うちの会社で経理募集しているよ」と教えてもらった会社はスイスの製薬会社でした。

 「スイスの製薬会社か!なんかカッコいいな」と思ったのですが、大学卒業後は一切英語学習をしておらず、過去に一度だけ受験したことのあるTOEICのスコアが400点台だった私ですので「大丈夫かな?」と不安に思っていました。それでも面接に臨んだところ面接官は日本人の財務担当役員で日本語で行われたためほっとしていました。

 ところが最後に質問された「英語で売掛金を何というか分かりますか?」という問いに答えられず「これは完全に落ちたな…」と思ったもののなぜか採用、外資系企業への入社に成功しました。後に聞いた話では財務関連で採用された同僚の面接は英語で行なわれたそうです。

外資系企業が税理士を必要とするわけ

 ということで「英語がダメ」ということがバレながらも外資系企業に入社しのたです、入社後は日々外国人に囲まれて英語漬けだったかと言えばそんなことはなく、日本法人のスタッフはほとんどが日本人で普段は日本語を話していました。ところが時折参加する本社とのテレビ会議や本社から発信される文書は全て英語だったため、入社当初は英語が得意な同僚に助けてもらいながらなんとか凌いでいました。

 では「なぜスイスの会社がわざわざ英語の苦手な税理士を採用したのか?」と言えば、それは彼らが会計や税法の専門的な知識や経験を必要としていたからであって、そういった専門的な知識や経験があるのであれば英語は徐々に慣れてくれればOKだと考ていたからです。このことは会計や税法に限った話ではなく、科学やマーケティングなど他の専門的な知識であっても同じだと思います。

 とはいえ早い段階で英語を使って会計や税法の仕事ができるようにならないといけないわけだったのですが、会計や税法の専門的な英語は単語や言い回しが限られているため、実はどんな話題が飛び出すか分からない日常会話よりも理解しやすく次第に慣れていくことができました。

英語は例文を丸暗記で勉強

 TOEIC400点台から始まった外資系企業での仕事ですが、入社から約1年程度でTOEIC840点までレベルアップすることができました。「1年間で800点オーバーなんてやっぱりもともと英語が得意だったんでしょ?」と思われるかもしれませんが全くそんなことありませんでした。

 ではどうやって1年間でTOEICを840点までレベルアップさせたのかと言うと、基本的には例文の丸暗記をしました。もちろん最低限の文法知識(中学英語程度)の復習はしましたが、This is a penと言うときにいちいち「be動詞が…」など考えないのと同じで数多くの言い回しを丸暗記してしまうのが一番手っ取り早いと思ったため暗記による学習を重視しました。

 なお、例文の丸暗記で役に立ったのがオンライン英会話スクールが提供するメソッドで、講師の話した例文をテキストを見ずにオウム返しでリピートするものでした。例文が長くなればなるほど覚えきれなくなって非常にストレスのかかるものでしたが英語力はメキメキと上達しました。

TOEIC800点台ってどのくらいのレベル?

 TOEIC800点台というと「洋画が字幕なしで理解できて、ネイティブとお喋りを楽しめるレベル?」と思われるかもしれませんが、全くそんなことはありませんでした。個人差は大きいと思いますが私の場合は、800点台は「ネイティブと一対一であれば自由に話せるけれど複数の人との議論では口調が早くなったり難しい単語が出てきたりで難しい」といった程度でした。

 実際、8年の間にはスイス、ドイツ、シンガポールなどに出張しましたが実は結構ドキドキしながら行っていました。そして案の定聞き取れないことも多かったです。でも大切なのは「わからなければ聞き返す」ことで、カッコつけて分かったふりをしたら「無口だなこの人?まあいいか」と思われるだけなので仕事になりませんでした。

 また、海外出張で一番困ったのが夕食で、仕事後にレストランのような雑音のある場所で、様々な国の人たちと「知らない話題」を「中国訛り、インド訛り、シンガポール訛りなど英語」で楽しくお喋りする場面のため、表面上は笑顔を作りつつもリスニングテスト以上に集中して聞いていました。

当時を振り返って思うこと

 今は税理士事務所を開業してスタートアップのお客様を中心に日本国内の事業のサポートをさせて頂いているため当時とは大きく様変わりしましたが、貴重な経験をたくさん積めたと思っています。「英語ができないけど外資系企業に興味がある」という税理士の方がいましたら参考にしてみてください。

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