大企業の企業内税理士として働くメリット・デメリット

 税理士の世界では資格取得後は独立開業するか税理士事務所や税理士法人に勤務することが王道ですが、私は税理士試験の合格後、航空会社と製薬会社で約16年間勤務しました。そして、その後独立して税理士事務所を開業したのですが、私のようなキャリアの税理士は稀だそうなので、大企業の企業内税理士として感じていたメリット・デメリットを紹介したいと思います。

大企業の企業内税理士として働くメリット

(1)会社の内部から直接関与できる

 税理士事務所や税理士法人の勤務では外部コンサルタントの立場で顧問先に関与するため深く関わることに限度がありますが、企業内税理士は社内の人間として業界や会社の状況等を深く理解した上で業務にあたれるメリットがあります。

 そして外部税理士だと顧問先に税務リスク等の説明をした上で最終的な意思決定は顧問先に任せることになりますが、企業内税理士は会社の意思決定の議論に直接加わることができるのも醍醐味です。

(2)幅広い業務を経験できる

 税理士事務所や税理士法人の勤務ではどうしても税務や財務会計の業務が中心になってしまいますが、一般的に会社が企業内税理士に期待することはもっと幅広いため、税務や財務会計に限らず様々な業務を経験できるのもメリットです。

 実際に私の場合は、管理会計や経営企画、内部統制、IFRSなどの仕事も行っていたため税理士としての業務の幅が広がったと感じます。また企業の意思決定にも直接関与できるため、税理士資格を持っていて将来CFOや社外取締役などに就きたいと考えている方にとっては非常に有益な経験を得られると思います。

(3)高度な税務に携われる

 意外と思われるかもしれませんが大手上場企業の企業内税理士であれば高度な税務に携われるチャンスもたくさんあります。というのも大手上場企業の経理部には複数の税理士や公認会計士が在籍していることも珍しくなく、連結納税制度や組織再編税制、国際税務のようなグループ会社を含めた税務問題に対処していることがあります。

 私が働いていた航空会社では税理士と公認会計士があわせて約10名ほど在籍しており、連結納税制度や組織再編税制の業務に携わることが多かったです。また製薬会社では移転価格税制などの国際税務に携わることもできました。

大企業の企業内税理士として働くデメリット

(1)特定の専門分野を極めずらい

 big4を代表とする大手税理士法人では、例えば組織再編税制や移転価格税制など、それぞれの専門分野を極めることが可能ですが、企業内税理士の場合は大企業であっても特定の分野について大手税理士法人ほど多種多様な事例があるわけではないため特定の専門分野を極めることは難しいと思います。

(2)独立開業しにくい

 大企業での勤務になると待遇もよく安定していることが多いため、たとえ税理士資格を持っていても独立志向の強い人は少数派だと思います。そのため社内で働いていただけでは独立に関する情報を入手しずらく、顧客獲得や事務所運営などのノウハウを得ることも難しいです。

 また、税理士事務所や税理士法人に勤務している場合には、独立開業後に顧問先を引き継がせてもらえるケースもあるようですが、企業内税理士の場合はゼロからのスタートになることが多いと思います(ただし在籍していた会社や子会社と顧問契約を締結している税理士もいます)。

(3)社外でのネットワークが作りにくい

 大企業のバックオフィスに勤務していると社内でのネットワークがどんどん広がっていく反面、外部の税理士や弁護士、司法書士、経営者などと「個人的な」ネットワークを作ることが難しく感じます。もちろん大企業の看板を使って多くの方と知り合うことはできますが、大企業の看板を外した後は疎遠になってしまうことも多いようです。

 したがって、将来の独立開業を考えている場合には、自分から積極的に社外の方と交流をしていくことが大切だと思います。

まとめ

 税理士と言えば独立開業か税理士法人等に勤務の二択で考える方も多いと思いますが多くの大企業では社内に税務の専門家を必要としています。企業内税理士には他では得られないような多くのメリットもありますので、既に税理士資格を持っている方やこれから税理士を目指そうという方は企業内税理士という働き方も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

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