税理士が顧問先の「定款」を確認する理由

 定款というと「そういえば会社を設立するときに司法書士や行政書士の先生にお願いして作ってもらったな、でも具体的にどんな内容だったかはちょっと思い出せないな…」という経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

 でも定款は法人の基本ルールを定めたものですので経営者は自社の定款を正しく理解しておかないといけませんし、定款の内容を正しく理解していない場合には税務上のリスクが生じる場合もあるため要注意です。

「定款」とは?

 定款とは法人の商号(〇〇株式会社など)や目的(飲食店の経営、食料品及び飲料品の小売業など)などを定めるもので、法人を設立するときに作成します。そして具体的にどのようなことが記載されているかをもう少し詳しく説明すると、次のように「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意記載事項」の3つの記載があります。

【絶対的記載事項】
定款への記載が必須な事項で、記載漏れがあると定款そのものが無効になってしまいます。
(内容)目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称及び住所

【相対的記載事項】
定款に記載してもしなくても自由な事項ですが、定款に記載していないと(定款以外で定めているも)効力が認められない事項です。
(内容)変態設立、株式譲渡制限、役員の任期の伸長、株券発行の定めなど

【任意的記載事項】
記載するかしないかは自由な事項で、定款以外で定めても大丈夫ですが、定款に記載することで内容が明確になります。
(内容)事業年度、役員報酬の決め方、株主総会の議長・議事録など

 こうやって見てみると「なんだか難しそうだな…」と思われるかもしれませんが、経営者であれば自社の定款を正しく理解しておかなければならず、例えば取締役の任期を定款で2年としているにも関わらず「2年ごとに任期が満了するなんて知らなかった…」ということで任期満了後にそのまま放置し役員の変更登記をしていないと、役員変更登記を怠ったということで過料が科されてしまいます。

税務リスクが生じるケースも

 定款について税務上の観点から注意が必要なのが「役員報酬の決め方」についてです。どういうことかと言えば、会社法では取締役が役員報酬をお手盛りで決めることによって株主の利益を害することを防止するため、役員報酬の決定には「定款の規定又は株主総会の決議」が必要としているのですが、こういった手続きを経ずに役員報酬を支給してしまった場合、法人税法では過大役員報酬として損金にすることができないからです。

 例えば役員報酬年間3,000万円、税率30%で、定款の定めも株主総会の決議もないとすれば年間900万円(3,000×30%)の追加の税負担が発生することになります。

 以上のように「役員報酬をどうやって決めるのか?」と「株主総会決議が必要な場合には議事録が作成されているか?」は税務上注意が必要ですが、なかには「自分=社長=株主だからいちいち定款の定めや株主総会の決議なんていらないよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。それでも正しい手続きを経ないと損金にすることができませんので正しい手続きをお忘れなく。

 

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