クラウド会計があれば簿記知識は不要ってホント?

 最近のIT技術の発展は目覚ましいものがありますね。私が最初に都内の税理士事務所に入ったのは今からちょうど20年前で、当時と言えばようやくオフィスでPCが一人一台ずつ使われ始めたような時代でしたが、この20年間のうちにスマホが当たり前になり、最近では5Gのサービスも始まっています。

 ところで最近の会計業界のトレンドと言えばクラウド会計ですが、なかには「クラウド会計があれば簿記の知識は不要!」とまで言う人がいますが本当でしょうか?日々クラウド会計を利用しているなかで考えていることを解説します。

簿記の知識は必要!

 結論から言いますとクラウド会計を使ったとして簿記の知識は必要だと考えています。というのもどんな入力方法であったとしても最終的には複式簿記のルールに従った帳簿が作られるため、簿記の知識がないと作成された帳簿が正しいのか間違えているのかさえ判断がつかないからです。

 例えば、工学の知識がなくても機械の設計図を描けるソフトウエアがあったとしてポチポチとデータを入力すれば設計図が完成したとします。でも工学の知識がなければ本当にその設計図で正しいのか判断ができないはずです。それでもそれでもお金をかけて一応組み立ててみることは可能かもしれませんが「あれっ、思った通りに動かないぞ。なんでだろう?」となったときに工学の知識がなければその原因が分かりません。

 もちろん簿記は機械の設計図ほど複雑ではありませんが、便利なツールがあったとしても知識がなければ正しく運用できないことは同じです。

経理を「効率化」するツールと捉えよう

 「じゃあクラウド会計のメリットはどこにあるの?」と聞かれれば、なんと言ってもネットバンキングやクレジットカードなどとデータ連携して入力作業を圧倒的に効率化できることです。例えばクラウド会計をネットバンキングに繋げば入出金データが自動的に取り込まれるので、あとは「会議費」や「旅費交通費」などの勘定コードを選択(場合によっては選択すら不要)するだけで記帳が完了します。

 こう言うと「勘定科目を選択するだけで良いのであれば、やはり簿記の知識は不要なのでは?」と思われるかもしれませんが、実はこういった便利機能を正しく使うには簿記を理解している人が「初期設定」と「メンテナンス」をしている必要があります。簿記の知識がないのになんとなくクラウド会計を使ってしまうと間違えた帳簿が出来上がってしまう可能性が高いですし、そもそも正しいのか間違えているのかさえわからないことになります。

専門家のサポートを活用

 このように、クラウド会計は非常に便利なツールではありますが、簿記の知識はやはり必要なのです。では「具体的にどの程度の簿記の知識が必要か?」と言えば、個人事業であっても最低簿記検定3級程度の知識は必要ですし、もう少し規模が大きい場合はさらに上級レベルの知識が必要です。

 また、正しく記帳できたとしてもクラウド会計は税務や資金繰りのアドバイスまではしてくれませんので、必要に応じて税理士や会計士などの専門家を利用することは依然として大切だと思います。

 これまで実際にクラウド会計を使ってきた経験から考えると、クラウド会計は経理処理を「効率化」できるツールであって簿記の知識を不要とする「自動化」ツールではありません。クラウド会計を利用することによって経理業務の負担を減らしつつ、専門的な部分については専門家にみてもらうことが得策だと思います。

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