こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。
最近では会計ソフトが幅広く普及しているため手書きの帳簿を拝見することはあまりなくなりました。特に最近では銀行やカードの明細を自動的に取り込む機能がついているため、簿記の知識が十分でなくてもある程度使えるようになりましたが、経理初心者の方に「これだけはしてください」というポイントをご紹介します。
貸借対照表をチェックしましょう
経理初心者の方の中には、経理処理をしていて気になるのは「利益」の金額だから、損益計算書はよく見るけど貸借対照表はそれほどじっくり見ないというという方も多いのではないでしょうか?
でも、経理のプロが最初にチェックするのは実は損益計算書ではなく貸借対照表のなのです。なぜかと言いますと(1)貸借対照表の勘定科目は残高が合わなくなったら一大事、(2)貸借対照表が正しければ損益計算書の最終利益の金額も正しくなる仕組みであるという二つの理由がありますが、それぞれ説明したいと思います。
(1)貸借対照表の勘定科目は残高が合わなくなったら一大事
貸借対照表の勘定科目といえば「現金」「売掛金」「買掛金」などの資産や負債がありますが、これらの勘定科目は残高が合わなくなったら一大事のため、常に残高が正しいかをチェックしておかなければなりません。
例えば「現金の帳簿残高は30万円だけど金庫を調べると20万円だった」「売掛金の帳簿残高は100万円だけど20万円分がよくわからない」といった場合には、早急に原因を突き止めなければなりません。わからないまま放置してしまうと、後になって原因を究明することは非常に困難で「帳簿がおかしいがどこで間違えたのか全然わからない」といった事態に陥ります。

(2)貸借対照表が正しければ損益計算書の最終利益の金額も正しくなる仕組み
「利益の計算は損益計算書でするもの」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は貸借対照表からも「純資産の増加額」といった形で利益の金額を計算することができます。
このことは貸借対照表の「現金」「売掛金」「買掛金」などといった各勘定科目の残高管理が正しく行われていれば、損益計算書の最終利益の金額も正しくなるという意味でもありますのですのでとても大切です。

損益計算書の月次推移をチェックしましょう
貸借対照表の残高がチェックできたら次に損益計算書です。損益計算書では特に月次推移をチェックして前月よりの増減が大きいものがあった場合には、その理由を調べるようにしましょう。
なぜ損益計算の月次推移をチェックするのかと言いますと、毎月の金額と大きく異なっている勘定科目を探すことによって、(1)勘定科目の選択ミスを見つけることができる、(2)経営分析に活かすことができるためです。
(1)勘定科目の選択ミスを見つけることができる
貸借対照表の残高が正しければ損益計算書の最終利益も正しいのですが、本来「給与」にすべきところを「法定福利費」で経理処理してしまったなどの、勘定科目の選択ミスのうち金額的に影響の大きいものを見つけることができます。
(2)経営分析に活かすことができる
前月と比較して「売上が増えているのに利益は下がっている」「広告宣伝費が増えてきている」などの会社の情報を知ることができます。
もちろん上記以外にもチェックしなければならない項目はありますが、経理初心者の方はまずは上記のポイントを参考に会計データをチェックするようにしてみてください。
2003年、税理士試験5科目合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、所得税法、消費税法)。都内会計事務所や事業会社で税務会計業務や経営計画業務に携わる。「気軽に相談できる税理士」をモットーに東京都千代田区に税理士事務所を開設。ビジネス税務に強く、また、創業や法人成りのサポート、クラウド会計の導入支援を得意とする。
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