税理士にとって外資系企業という働き方

税理士にとって外資系企業という働き方

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。私が税理士試験に合格したのは2003年で今から約20年前ですが、その頃も今とあまり変わらず、税理士試験合格者のほとんどは独立開業か税理士事務所に就職をしていました。

 そんな中で私が選んだのは独立開業でも税理士事務所への就職でもない事業会社への就職でした。当初は「事業会社も経験してみたいな」という程度の軽い気持ちだったのですが、結局、航空会社の経理部門で7年間、外資系製薬会社の財務部門で8年間勤務することになりました。

 グローバル化が進んでいる現在でも外資系企業で働く税理士はあまり多くないと思いますので、今回は私の経験から外資系企業での仕事について書いてみたいと思います。

英語はどうにかなる

 外資系企業で8年間も勤務したと言えば多くの方から「帰国子女ですか?」とか「留学経験があるのですか?」と聞かれますが、日本で生まれ育ち、英語圏への留学経験どころか英語圏への旅行経験すらありませんでした。

 「でも、TOEICの点数は高かったんでしょ?」と聞かれるかもしれませんが、当時は形容詞と副詞の違いすら曖昧で400点台がやっとでした。

 外資系企業は多くの税理士からは「英語力に自信がない」という理由で敬遠されているように感じますが、私の経験から言えば、英語を勉強する意思さえあれば入社段階で英語力を過度に心配する必要はないと思います。

 「学生時代にあんなに勉強したのに旅行会話ですらまともにできないから無理」「外資系ってネイティブみたいな英語力が必要なんでしょ?」といった認識を持っている税理士も多いと思いますが、今やYoutubeやオンライン英会話スクールを使って活きた英語が手軽に学べる時代ですので、『英語が必要な環境』に入れば、こういった学習ツールを使ってどうにかなってしまうものです。

外資系企業で必要な『英語力』

 外資系企業といっても千差万別で、例えば国内営業の仕事であれば英語力は全く必要ないかもしれませんし、専門的な仕事であれば英語の論文等をスラスラと読めないといけないかもしれませんので、外資系企業で必要な英語力を一口で言うことはできません。

 私が所属していた財務部門は?というと、英語の書類やメールは日常的に読む機会がありましたし、英語での電話会議も頻繁にありました。「それができるのだったら、やっぱり最初から英語力が凄かったんじゃないか」と思われるかもしれませんが、当時からGoogle翻訳はありましたし、電話会議は英語が得意な同僚と一緒に出席して切り抜けていたという言い方の方が正しいです。

 そんな私も入社半年後に初めての海外出張に行くことになりました。当時はまだTOEIC600点あたりをウロウロしている段階で、もちろん英語力には全く自信がなく、自分以外全員外国人というドキドキの海外出張だったのですが、終わってみれば「意外とどうにかなるものだな」という感想を持ちました。

 多くの方の誤解に「ビジネスレベル>日常会話レベル」というものがあると思いますが、一般的にビジネスレベルの英語というのは、会議室などの静かな環境で、よく知っている話題と限られた単語、スラングなどを使わないきれいな英語ですので実は日常会話よりもはるかに簡単です。

 税理士であれば静かな会議室で財務や経理、経営について議論できれば十分で、英語で気の利いたジョークを言う必要もなければ、料理や釣りの単語を知っている必要もありません。また、文法が間違えていても発音がカタカナ英語であっても通じれば全く問題ありません。

 それよりも重要なのは『自信』で、自信なさげに話をしても外国人は聞いてくれませんが、デタラメな文法とカタカナ丸出しの発音であっても自信満々に話すと、みんな「何か重要なことを言っているに違いない」と思って真剣に聞いてくれます。

 ということでビジネス英語は意外とどうにかなるものなのですが、私としては海外出張で困ったのはむしろ仕事が終わった後でした。外国人の同僚たちとバーに行くと、騒がしい店内で盛り上がった同僚達が話す早口の英語を聞き取るために、仕事よりもずっと集中しなければならなかったからです。でも、まあバーでおいしくお酒を飲んでいれば、話題についけいけなくても全く問題ないのですが。。

専門性が重要、でも、専門性へのこだわりを捨てられるかも重要

 外資系企業が「税理士を採用する理由は何か?」と言えば、それは間違いなく専門性です。もちろん外資系企業には流暢に英語を操る帰国子女や留学経験者がたくさんいると思いますが、税理士に「高度な英語力」を期待しているのはレアケースで、それよりも期待に応えられるだけの専門性があるかどうかの方が大切です。

 ところがこう言うと「では、もっと税務や会計を一生懸命勉強しなければ!」と思われるかもしれませんが、専門知識はピカイチだけど業界のことは何も知らないというのであれば外部の税理士で十分です。外資系企業がわざわざ自社の社員として税理士を採用する理由は、正しく言えば「専門知識×業界知識」です。

 この「専門知識×業界知識」というのは外部の税理士では難しく、例えば大手税理士法人にはそれぞれの業界に比較的詳しい税理士はいるかもしれませんが、「市場の状況」や「自社と他社の戦略の違い」「自社製品のスペックや特長」などを説明できるほど業界に精通した税理士はまずいないでしょう。

 外資系企業に限らず、事業会社で働いている税理士は、ややもすれば「自分は税理士だから」ということで税務や会計の専門知識にばかり磨きをかけがちですが、税理士が事業会社で活躍するには、税務や会計知識のブラッシュアップをしつつも自らすすんで業界の情報を収集し、自社の施策について税理士目線から提案できるくらいになることが重要です。

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