税効果会計の『超』入門

税効果会計の『超』入門

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。私が会計の勉強を始めたのは約20年前ですが、ちょうどその頃「会計ビッグバン」と言われる日本の会計基準をグローバル化させる改革が行われていました。そして会計ビッグバンの中で導入されたものの一つに税効果会計がありますが、経理の仕事を行っている方の中にも税効果会計は苦手という方も少なくないように感じられます。

 私が企業の経理部門で働いていたときには税効果会計の回収可能性について監査法人と喧々諤々の議論を繰り広げたことがありまして、確かに難しい部分もあるのですが、税効果会計の仕組みそのものは非常に分かりやすいものですので、今回は税効果会計の『超』入門について解説したいと思います。

会計と税法は利益の計算方法が異なる

 会社に生じた利益には法人税などの税金が課されますが、税効果会計を理解する上で最初に知っておかなければならないのが、利益の計算方法が会計と税法では異なるということです。

 もちろん会計であっても税法であっても利益は利益なので、両者の計算方法が全く違うというわけではありませんが、やはりそれでも会計の「税引前利益」と税法の「課税所得」は一般的には一致しません。

 例えば社員が2020年度に働いた分の賞与200万円を2021年度に支給する場合、会計では働いた期間である2020年度の費用として認識しますが、税法では実際に支給した2021年度の損金(税法では費用を損金といいます)になります。

 つまり、このケースでは下表のように費用200万円を認識するタイミングが会計と税法で1年間ズレてしまうというわけです。

 その結果、2020年度分について会計では、収益1,000万円-費用700万円=税引前利益300万円と計算しますが、税額計算ではそれよりも200万円大きい500万円が課税所得になるため、税率が30%であるとすると税額は150万円になります。

 そして、この金額で決算書を作ってみると、次のように税引前利益300万円、法人税等150万円ということで、税引前利益に対してあたかも50%もの税金が課税されたように見えてしまいます。

税効果会計の役割

 このように会計と税法では利益の計算方法が異なるわけですが、税効果会計はこのような会計と税法の差異を調整するためのものです。

 例えば、上記のケースであれば、会計と税法のズレは200万円でしたが、税効果会計ではこの200万円に税率30%を乗じた60万円を法人税等150万円から控除してしまいます。その結果、法人税等(調整額を含む)は90万円になりますので、税引前利益300万円×税率30%の金額と一致することになります。

 ただし、ここで誤解してはいけないのが実際に納税する税額は150万円のままで変わらず、60万円の調整は会計帳簿だけで行うということです。言い換えれば、実際の納税額は150万円にもかかわらず、税効果会計によって決算書には90万円として表示するという話です。

 では「調整した60万円はその後どうなるのか?」と言えば、会計と税法の差異が解消するタイミングで再調整することによって取り消します。上記のケースであれば2021年度に差異が解消するため、2021年度に再調整をして下表のように2020年度と2021年度を合計した調整額は0円になります。

一時差異と永久差異

 ところで会計と税法のズレには大きく分けて「一時差異」と「永久差異」といわれるものの二種類があります。一時差異は先ほどの賞与のように会計と税法で収益や費用にするタイミングがズレるものをいい、そのズレは必ずどこかのタイミングで解消されます。

 これに対して例えば会社に罰金が科された場合、会計では費用になりますが、税法ではそもそも罰金を損金とは認めていないため(罰金が損金になって税額が減少してしまったら罰金の効果が半減するため)、このズレは永久に解消されません。このように会計と税法で永久に解消されないズレを永久差異といいますが、税効果会計では永久差異については調整を行いません。

 例えば、会社に罰金200万円が科されたため、会計と税額計算で利益の額が200万円ズレたとしても税効果会計の調整は行わないため、下表のように税効果会計による調整額は0円になります。

 つまり、税効果会計は会計と税法のズレを調整するものではありますが、正確には収益や費用の計上の「タイミング」のズレを調整するものということです。

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