年収基準は単なる目安!私立高校無償化

年収基準は単なる目安!私立高校無償化

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。先日、知り合いから「私立高校に通う子供がいるんだけど、授業料実質無償化のリーフレットを読んでもよく意味がわからない」という話を聞いたので文部科学省が作成したリーフレットを見てみたのですが、確かに判定基準を分かりやすく説明しようと工夫するがゆえに、却って分かりにくい部分があるように感じてしまいました。

年収590万円や910万円は判定基準ではない

 文部科学省リーフレットでは冒頭部分で次の表を使って解説していて一見すると非常に分かりやすいのですが、その反面、世帯年収「目安」の590万円や910万円という点が強調されていてミスリードが生じやすくなっているように感じます。

 例えば世帯年収が1,000万円以上のような場合には「うちは完全に対象外」と誤解してしまってそれ以降は読まない方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には世帯年収が判定基準ではないため、世帯年収が1,000万円を大幅に超える場合であっても支給対象になる可能性は十分にあります。

 また、インターネットで調べていると私立高校授業料実質無償化について多くの解説記事が出てきますが、この590万円や910万円という「目安」が独り歩きしてしまっていて、あたかもこの「目安」を超えると支給対象から外れるような解説が多いことも気になります。

実際の判定基準

 では、実際にどのようにして判定するかというと、文部科学省のリーフレットの2ページ目で説明されているのですが、令和2年4月~6月分は「住民税の所得割額」によって判定し、令和2年7月分以降は「課税標準額を使った一定の計算式」によって判定します。

 「なんだそのややこしい判定基準は?」「収入で判定した方がわかりやすい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、収入といっても給与収入だけではなく事業収入や不動産賃貸収入、配当収入など様々なものがあるため一律に比較するのは適切ではなく、また、同じ給与収入500万円であったとしても扶養親族が1人の方と3人の方では家計の状況が大きく異なるためこのように判定せざるを得なかったのだと思います。

・令和2年4月分~6月分の判定基準
 令和2年4月分~6月分の判定基準はリーフレットにあるように両親の住民税(都道府県民税+市町村民税)の所得割額で判定しますが、ここで注意しなければならないのが「年収590万円未満に相当」や「年収910万円未満に相当」という目安に惑わされることなく、住民税決定通知書や課税証明書等で実際にご自身の住民税の所得割額を確認することです。

 「リーフレットに親切に年収目安が書いてあるのになぜわざわざ住民税決定通知書等で確認する必要があるのか?」と言えば、例えば同じ両親共働きの給与年収1,000万円の世帯であったとしても「父親500万円+母親500万円」の場合と「父親800万円+母親200万円」の場合とでは住民税の合計額は異なりますし、さらに「祖父母を扶養している」「医療費控除を受けている」「確定拠出年金をしている」などの場合には所得控除額が文部科学省のモデルケースよりも大きくなって、590万円や910万円という年収目安を大きく上回っている場合であっても支給対象になる可能性があるからです。

・令和2年7月以降分の判定基準
 令和2年7月以降分については住民税の額に代えて、市町村民税の課税標準額を使った計算式によって判定することに変更されています。「課税標準額」とは税の専門家を除いてあまり馴染みのない言葉だと思いますが、収入から必要経費や所得控除額を控除した後の金額で、住民税決定通知書や課税証明書等で確認することができるため、ご自身の課税標準額を確認したうえで計算式に当てはめて判定してみてください。

 令和2年7月以降はなんとも分かりにくい計算式による判定に変更されてしまったのですが、令和2年4月分~6月分のような住民税の額による判定では、例えばふるさと納税によって住民税の額を減らしてしまえば高額所得者であっても支給対象になってしまうためこのように変更したのだろうと思います。

都道府県独自の制度も要チェック

 私立高校授業料無償化については国の制度だけではなく、例えば東京都であれば、上記の国の制度の他に東京都独自の制度が設けられていて、国の制度の上乗せとして東京都からも支給を受けられたり、国の制度の対象外であっても東京都の制度では支給対象になる方もいらっしゃいますので、各都道府県の制度についても確認してみることが大切だと思います。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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