フリーランスには簡易課税がおすすめ?

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。今日は消費税の簡易課税についてわかりやすく解説したいと思います。

 システムエンジニア、デザイナー、ライターなど様々なフリーランスの方々がいらっしゃいますが、弊事務所のお客様にもそのような方々がいらっしゃいます。そしてフリーランスの方であっても一定の要件を満たす場合には消費税の納税義務がありますので、今回はフリーランスの方の消費税について解説したいと思います。

消費税には2種類の計算方法がある

 消費税法ではフリーランスは個人事業者として取り扱われるため、原則として2年前の課税売上高が1,000万円超の場合には消費税の納税義務が発生します(納税義務の有無の判定はこの他にもいくつかのルールがありますのでご注意ください)。つまり、フリーランスの方であっても前々年の課税売上高が1,000万円超の場合には、毎年3月15日までの所得税の確定申告だけではなく、3月31日までに消費税の確定申告も行わないといけません(2019年分の確定申告は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために2020年4月16日まで延長されています)。

 ところがここで気を付けないといけないのが、消費税には「本則課税」と「簡易課税」という2種類の計算方法があり、前々年の課税売上高が5,000万円以下の場合には簡易課税を適用することが可能ということです。つまりそのような場合には「本則課税」と「簡易課税」の両方が適用可能で、税額の少なくなる方を選択することが節税の観点からは大切になってきます。

本則課税と簡易課税の違い

 本則課税とはその名のとおり消費税法の「本則」による課税方法で、システムエンジニア、デザイナー、ライターなどのフリーランスの方の場合、一般的に非課税売上が非常に少ないと思いますので、課税売上割合が100%という前提で考えると、納付税額はお客様から受け取った消費税と必要経費等で支払った消費税の差額として計算されます。

 これに対して簡易課税は売上(受取消費税)のみから納付税額を計算する方法で、「受取消費税-受取消費税×みなし仕入率」として納付税額を計算します。例えばシステムエンジニアであればサービス業になりますので、みなし仕入率は50%になり、納付税額は「受取消費税-受取消費税×50%」となります。

 両者を比較してみると、簡易課税は受取消費税のみから納付税額を計算するため、支払消費税が少ない場合には簡易課税の方が本則課税よりも納付税額が少なくなります。例えばシステムエンジニアならば、「受取消費税×50%>支払消費税」の場合は簡易課税の方が有利になります。

(例)フリーランスのシステムエンジニアです。今年の課税売上は2,000万円(受取消費税200万円)、経費(課税仕入)は600万円(支払消費税60万円)でした。
・本則課税 200万円ー60万円=140万円(納付税額)
・簡易課税 200万円ー200万円×50%=100万円(納付税額)

事前の届け出が必要

 こんな便利な簡易課税制度ですが、一つ注意しないといけないのが、あらかじめ所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておかなければ適用できないということです(※)。つまり、その年が終わってから本則課税と簡易課税の両方を計算し、納付税額の少ない方を選択するというわけにはいかず、あらかじめ本則課税と簡易課税のどちらの方法で計算するかを決めておかなければならないということです。また、簡易課税を適用した場合には、原則として2年間は本則課税に変更することができません。
(※)「消費税簡易課税制度選択届出書」は原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間の場合はその課税期間中)に提出しなければなりません

 したがって、簡易課税が適用できる場合には、事前に本則課税と簡易課税のどちらが有利になりそうか慎重にシミュレーションを行っておくことが大切です。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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