繰延資産とは?

繰延資産とは?

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。

 法人税では費用は原則として債務が確定した時の損金(必要経費)になります。したがって例えば旅費を前払いしても損金になりませんが、既にホテルに宿泊していれば請求書を受け取っていなかったとしても損金になります。

 ところが棚卸資産については販売するまで損金にできませんし、機械や車両などの減価償却資産については減価償却によって耐用年数にわたって少しずつ損金にしていくというように、なかには「損金算入時期≠債務の確定時期」となるものもあるのですが、その一つに繰延資産というものがあります。先日ある方と話をしていると「繰延資産と前払費用って何が違うの?ちょっと分かりにくいな」という質問があったので繰延資産とは何かについて解説したいと思います。

繰延資産とはどのようなものか?

 繰延資産とはあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、企業会計原則では繰延資産とは将来の期間に影響する特定の費用として「すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用」と定義されています。

 ただ、これだけでは「ちょっと何を言っているんだろう…」となるかもしれませんので、具体例として発起人が会社を創立する場合を想像してみてください。発起人は定款を作成したり設立登記をしたりしますが、「発起人が会社を創立する理由何か?」といえば当然創立後の将来に事業をするためです。そしてこのように「将来の○○のために」という費用のうち一定のものを繰延資産といい、効果が発現する期間にわたって少しずつ費用化していきます。

 では前払費用とどこが違うのかと言えば、繰延資産は法人登記は既に終わっているけれども法人登記の効果が表れるのは将来といったように「役務の提供を既に受けている」ものであるのに対して、前払費用はそもそも「まだ役務の提供を受けていない」ものという違いがあります。

法人税の取り扱い

 法人税での繰延資産の取り扱いについて注意しないといけないのが、企業会計の繰延資産よりも範囲が広いということです。企業会計では繰延資産は「創立費」「開業費」「開発費」「株式交付費」「社債等発行費」に限定されいていますが、法人税ではそれよりもかなり範囲が広く、次のようになっています。

 「公共施設負担金」やら「スキー場のゲレンデ整備費用」やら簿記の勉強をされたことがある方にとっても見慣れないものが多いかもしれませんが、税務調査で調査官に「これは繰延資産ですよ」と指摘されてビックリすることのないように「将来のために支出する費用は繰延資産かもしれない」ということを頭の片隅に入れておいて、「もしかして!?」と思ったら税理士などの専門家に相談するようにしてください。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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