連結納税制度が変わる!

連結納税制度が変わる!

 こんにちは!市ヶ谷、九段下の税理士たちばなです。

 昨年12月に公表された税制改正大綱ですが、大きなものとして「連結納税制度の見直し」という項目があり、2022年4月以降に開始する事業年度から現行の連結納税制度がグループ通算制度に移行されることになりました。これは現在の連結納税制度がグループ企業にとってメリットのある制度であるものの、制度が複雑で事務負担が大きいといった声が多かったことから簡素な制度に変更しようというものです。

 とは言っても現行の連結納税制度などの税法についてある程度の知識がある方でないと、どこが変更されるのかなかなか理解することが難しい内容ですので、現在の連結納税制度とグループ通算制度の主な違いを解説したいと思います。 ただし、税制改正大綱の内容については今後変更される可能性もある点をご留意ください。

連結納税制度とはどんな制度?

 連結納税制度とは2002年度に導入された制度で、それまではたとえ100%の親子会社であったとしても法人格が別であるため、それぞれ別々に法人税の計算をしなければならなかったのですが、連結納税制度が適用されると100%の支配関係がある企業グループについてはあたかも一つの法人であるかのようにして申告・納税することになりました。そしてこの制度の最大のメリットはと言えばグループ内での黒字の赤字を損益通算できるところにあります。

 例えば単体納税の場合、親会社の所得が1,000万円、子会社Aが▲300万円、子会社Bが500万円であれば、親会社には所得1,000万円に対する法人税が、子会社Bは所得500万円に対する法人税が課税されるのに対して、所得金額▲500万円の子会社Aは原則として納税額が0円になります(一定の要件を満たす場合は欠損金の繰越しや繰戻しができます)。一方、連結納税であれば、グループ全体で所得金額を計算するので、黒字と赤字を損益通算した後の所得金額1,200万円(=1,000万円-300万円+500万円)に対して法人税か課税されることになり単体申告よりも納税額が少なくなります。

 連結納税制度にはこのように損益通算という大きなメリットがあるのですが、その反面制度が複雑で事務負担が大きいといったデメリットが以前から指摘されていました。私も大手企業で連結納税の取りまとめをしていたことがありますが、親会社は各子会社から税務申告に必要なデータを集めてあたかもグループ全体を一つの会社のように申告・納税を行ったのち、各子会社と納税額の精算をするといったステップを踏むことになり子会社の数が多いとかなりの事務負担になりました。

 また、連結納税グループ全体で税額計算するため、修正申告や更正などによってどこか一つの会社でも申告した金額が変更になった場合には、連結納税グループの全ての会社に影響が及ぶといったデメリットもありました。

グループ通算制度でどこが変わる?

 これに対して新しく導入される予定のグループ通算税制の大きなポイントは、制度を簡素化して事務負担を減らすために、企業グループ全体で税額計算をするのではなく各社ごとに税額計算することにするという点です。ただし、損益通算などについてはグループ会社間で調整を行います。

 そして、計算された税額は連結納税制度とは異なり各社ごとに申告・納税を行い、損益通算による税効果額(損益通算によって増減した各社の税額)は益金又は損金に算入されることなくグループ会社間で精算することができます。

 また、連結納税制度の場合、修正申告や更正などによってどこか一つの会社でも金額が変更になった場合には連結納税グループ全体に影響を及ぼすと説明しましたが、グループ通算制度ではどこかの会社で金額の変更があったとしても、原則として期限内申告で行った損益通算の金額は変更しないというルールになるため、ひとつの会社の金額が変更になったかといってグループ会社全体に影響を及ぼすことは無くなる予定です。

 今回、連結納税制度からグループ通算税制への変更のポイントを解説しましたが、さらに詳しく知りたい方は税制改正大綱の本文を読んでみてください。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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