賃貸用住居取得の消費税の改正

賃貸用住居の仕入税額控除の改正

 いよいよ2020年も年が明けましたがいかがお過ごしでしょうか?私は元日に都内のお寺に初詣に行ってきましたが、例年通りたくさんの人で賑わっていました。

 ところで2020年と言えば、10月以降に取得する賃貸用住宅の消費税について取り扱いが変更されることが昨年12月に公表された税制改正大綱で明らかになっています。賃貸マンションなどの経営をされている方にとっては影響がある内容かもしれませんので簡単に解説します。

 「では早速税制改正大綱の解説…」といきたいところですが、この件は消費税の仕組みに詳しくないと理解できないため、最初に消費税の仕組みをおさらいしたいと思います。

消費税の仕組み

 昨年10月より消費税の税率が8%から10%(軽減税率は8%)に引き上げられたのは記憶に新しいところですが、では「私たちの負担した消費税がその後どのようにして国庫に納められるのか?」と聞かれれば分からない方もいらっしゃるかもしれません。

 この点については、次の例にあるように消費者から消費税を受け取った小売業者は、受け取った消費税と仕入れ時に支払った消費税の差額を税務署に納税することになっています。そして生産者や卸売業者なども同様に受け取った消費税と支払った消費税の差額を納税することによって、結果として「生産者、卸売業者、小売業者の納付する消費税の合計」=「消費者が負担した消費税」となる仕組みになっています。

 このように、事業者は受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた差額を税務署に納めるのですが、このように支払った消費税を納税額から控除することを「仕入税額控除」といいます。そして仕入税額控除があるからこそ同じ商品やサービスに雪だるま式に繰り返し消費税が課税されることを避けることができています。

 ところがこの仕入税額控除、支払った消費税の全額が控除できるとは限らず、非課税の売上がある場合には、「支払った消費税×課税売上割合」 (本則課税で比例配分方式の場合) しか控除することができません。では「課税売上割合とは何か?」と言えば、売上全体のうちに消費税が課税される売上の占める割合のことで、例えば不動産賃貸業を営んでいて「オフィスの家賃収入(課税売上)が6,000万円」、「住居の家賃収入(非課税売上)が4,000万円」の合計1億円の場合は60%と計算されます。そしてこの場合、支払った消費税の合計が1,000万円であったとしても、仕入税額控除できる金額は1,000万円×60%=600万円になります。

マンションの賃貸でも仕入税額控除ができる?

 それでは居住用マンションの賃貸を専業を行っている業者の場合の仕入税額控除はどのように計算するのでしょうか?考え方は先ほどと同じですが、居住用マンションの賃貸は非課税ですので他に収入がなければ課税売上割合は0%になってしまい仕入税額控除は全くできません。たとえ税抜き10億円でマンションを建築して1億円の消費税を支払っていたとしても、仕入税額控除は1億円×0%=0円です。

 ところがこのよう場合でも「仕入税額控除をするために課税売上を作れば良い」と考えて、金地金などの反復売買する手法が出てきてしまいました。例えば居住用マンションの家賃収入(非課税)が4,000万円、金地金の反復売買で作った課税売上が10億円の場合、課税売上割合が0%から大幅に引き上がるため多額の仕入税額控除ができるようになってしまいます(厳密には1年間だけ課税売上割合を引き上げてもその後に税額の調整があるので3年間にわたって引き上げる必要があります)。

税制改正大綱の内容

 しかし、やはりこのような方法は看過できないとして出されたのが今回の税制改正大綱の「居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化」でして、一定の要件に該当する賃貸用住宅の購入で支払った消費税については課税売上割合に係らず仕入税額控除の対象から外されることになりました。つまり、仕入税額控除が全くできなくなるということです。

  なお、この改正は今年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合に適用されます(ただし3月31日までに締結した契約に基づいて10 月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合を除く)。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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