住宅ローン控除額を控除しきれなかったら?

住宅ローン控除額を控除しきれなかったら?

 いよいよ師走が近づいてまいりましたが、私はは開業準備をしたり以前の勤務先である製薬会社を退職したりと、いろいろあったせいかあっと言う間に一年が過ぎようとしています。

 ところで師走と言えば私たち税理士にとっては年末調整のシーズンです。 先日あるお客様に年末調整の説明をしていると「所得税から住宅ローン控除を控除しきれない社員がいるのですが、そういう場合はどうなるのですか?」という質問を受けました。年末調整をされる方の中には住宅ローン控除を適用される方も多いと思いますので解説したいと思います。

住宅ローン控除とは?

 所得税の税額控除の中でも特にメジャーな住宅ローン控除ですが、内容を簡単に説明すると、住宅ローン等を利用して新築住宅や既存住宅(耐震基準等に適合するもの)の取得、一定の増改築等をして1999年1月1日から2021年12月31日までに居住を開始した場合で、 「新築又は取得から6か月以内に居住を開始し、適用を受ける年の年末まで引き続き住んでいる」 「床面積50㎡以上で、2分の1以上が自己の居住用」「住宅ローンの返済期間が10年以上」「合計所得金額が3,000万円以下」などの要件を満たす場合には、一定年数の間、所得税の税額控除が受けられるという制度です。

 住宅の居住開始時期によって控除期間や控除額が異なるのですが、例えば2019年1月に住宅を新築して居住開始した場合、2019年以降10年間にわたって年末の住宅ローン残高×1%(40万円が上限)を所得税から控除することができます。したがって、住宅ローン控除前の所得税が30万円、年末の住宅ローン残高が2,000万円だった場合は2,000万円×1%=20万円が控除額になるため、住宅ローン控除後の所得税は30万円-20万円=10万円になります。

所得税から控除しきれなかった場合

 このような住宅ローン控除ですが、住宅という非常に大きな買い物ですのでローン残高も大きくなり、 住宅ローン控除を所得税から控除しきれないというケースも珍しくありません。具体的には源泉徴収票の「住宅借入金等特別控除可能額>住宅借入金等特別控除の額」になっている場合は、その差額が控除不足額ということになります。

 そしてこのように控除不足額が発生した場合にはどうなるのか?という疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、住宅ローン控除の控除不足額は翌年度の住民税から控除されることになっています。

住民税からの控除に特別な手続きは不要

 所得税の控除不足額を住民税から控除してもらうために納税者に「何か特別な手続きが必要か?」と言えば、市町村が年末調整や確定申告の情報を会社や税務署から取得できるため、住宅を取得した本人が追加で行う手続きは特にありませんが、あえて言うならば翌年に市町村から発行される住民税決定通知書の税額控除額欄に住宅ローン控除の額が記載されているか確認することをお勧めします。

 住宅を取得した納税者からすると市町村がどのようにして控除不足額の金額を把握するか見えないところですが、具体的には次の図(総務省ウェブサイトより引用)にあるとおり、会社員であれば給与支払報告書が会社から市町村に提出されることによって市町村は「住宅ローンの控除額が○○円で、そのうち所得税から控除しきれなかった金額が××円だから、住民税からの控除額は××円」といった具合に金額を把握する仕組みになっています。また、確定申告されている場合も税務署から確定申告書(市町村税用)が市町村に回付されるため、市町村はやはり住宅ローン控除に必要なデータを取得できる仕組みになっていますが、念のために住民税決定通知書で住宅ローン控除の額を確認すると良いでしょう。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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