建物と附属設備を分けると節税になる?

建物と附属設備を分けると節税になる?

 先日、ある先輩税理士と話をしていたところ、「お客様の購入した賃貸用マンションの建物部分と建物附属設備部分を分けるのに苦労している」という話がありました。そこで今回は建物と建物附属設備を分けるメリットについて解説します。

マンションの減価償却費

 建物と建物附属設備を分けるメリットを解説する前に、マンションの減価償却費について簡単に説明したいと思います。マンションの賃貸をすると家賃収入がある一方で、減価償却費を必要経費(損金)にすることができるのですが、マンション(鉄骨鉄筋コンクリート又は鉄筋コンクリート造りのもの)の耐用年数はなんと47年!しかも、減価償却方法は定額法一択のため、年間の償却率はたったの0.022になってしまいます。この場合、例えばマンションを5,000万円(うち建物3,000万円、土地2,000万円) で購入したとしても、減価償却費として必要経費にできる金額は年間わずか66万円です。

建物と建物附属設備を分けて必要経費(損金)を増やす

 毎年66万円ずつ減価償却していけば確かに50年近くかけて取得価額の3,000万円を償却できるのですが、半世紀近くかけてというのはあまりにも気の長い話です。「もう少し短い期間で減価償却したい」と考える方もいらっしゃるでしょう。

 そんなとき税理士としてお客様に提案できるのが建物と建物附属設備を分ける方法です。どういうことかと言いますと、税法で言うところの建物とは厳密には、壁や屋根や床、階段といった、まさに建物そのもののことで、建物に必須の設備である電気設備や給排水設備、ガス設備等といったものは建物そのものではなく建物附属設備に分類されます(ただし、建物と建物附属設備を分けずに全て建物の取得価額とすることもできます)

 例えば、 先ほどのケースと同様にマンションを5,000万円(うち建物3,000万円、土地2,000万円) で購入したとして、建物のうち建物附属設備が30%である場合、建物の取得価額が2,100万円、建物附属設備の取得価額が900万円になります。そして、建物附属設備が電気設備(蓄電池を除く)や給排水設備、ガス設備であったとすると、耐用年数は15年(償却率0.067)ですので、年間の減価償却費は合計で106.5万円になります。(ただし、建物附属設備の減価償却が終わった後の16年目以降の減価償却費は46.2万円になります)

 このように建物と建物附属設備を分けると、建物附属設備の耐用年数が短いために建物附属設備の減価償却が終わるまでの期間は減価償却費を増やすことができ、節税に利用できます。

建物と建物附属設備をどうやって分ける?

 ところが、ここで一つ悩ましいのが取得価額をどうやって建物と建物附属設備に分けるかです。建物を購入したときの売買契約書に建物と建物附属設備の価額が区分されている場合は、それに従えばよいだけなのですが、区分されていない場合には困ってしまいます。このような場合には、合理的な方法で取得価額を建物と建物附属設備に分けることになっていますが、具体的には次のような方法があります。

(1)工事費の明細で按分する方法
 建物を建築したときの工事費の明細がある場合には、建物と建物附属設備の工事費の割合で取得価額を分けることができます。ただし、中古の建物の場合は、その後の減価償却を考慮して割合を補正しないといけません(例えば工事費の70%が建物、30%が建物附属設備だったとしても、建物附属設備の償却が終わっている場合は、建物100%、建物附属設備0%になるといった具合です)

(2)再建築費評点数で按分する方法
 毎年の固定資産税額は固定資産税評価額をもとに市町村が計算しますが、その固定資産税評価額の基礎になっているのが再建築費評点数です。したがって、市町村が計算した再建築費表点数を入手できれば、建物と建物附属設備のそれぞれの評価額が分かりますので、評価額の割合を使って取得価額を建物と建物附属設備に分けることができます。ただし、毎年役所から郵送されてくる固定資産税の納税通知書に再建築費表点数は記載されていませんので、固定資産評価情報の開示を請求しないといけません。 また、この方法の場合も、中古の建物の場合は、それまでの減価償却を考慮して割合を補正する必要があります。

 ところで、前出の先輩税理士ですが、再建築費評点数を使ってマンションの取得価額を建物と建物附属設備に分けようとしているのですが、役所からは「所有者本人が請求に来ないと開示できない」と言われているそうです。マンションの所有者本人の体調が思わしくなく、なかなか役所に行けないそうなのですが、委任状を持った顧問税理士にくらい情報を開示したらどうでしょうか…

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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