消費税のリバースチャージ方式って何?

 消費税は日本の税金ですから、日本のスーパーで商品を購入すれば消費税が課税されますが、ハワイのABCストアで購入しても課税されません。

 ところがインターネットが普及するとややこしい問題が発生してしまいました。例えばインターネットで映画や音楽、電子書籍の配信ができるようになったことです。消費者としてはインターネットで「ポチっ」とするだけですが、配信元が国内の会社の場合もあれば、海外の会社の場合もあります。インターネットとは便利なもので、消費者が自宅に居ながらにして海外の会社と直接取引ができるようになったわけです。しかし、このような場合、日本の消費税は課税されるのでしょうか?

 私が税理士試験の勉強をしていた20年前の消費税法であれば課税されませんでした。というのは「海外の会社が販売しているので国外取引です、以上」と、まあそんな感じだったからです。

配信元が海外でも消費税は課税される

 しかしそんなに単純ではありませんでした。というのも消費税率が8%として「国内の会社から税抜1,000円の電子書籍を配信してもらった場合1,080円(消費税80円)の支払いのところ、海外の会社から配信されれば1,000円(消費税0円)で済む」ということになってしまったからです。実際にAmazonのKindle版書籍ならば消費税がかからずに安く買えると話題になっていました。日本の会社と同じように日本の消費者を相手にビジネスをしているのに海外の会社だからと言って消費税が課税されないというのは不合理でしょう。

 そこで2015年に消費税法の改正が行われ、販売した事業者がどこにいるかではなく、購入した消費者がどこにいるかによって消費税の課税の有無を判定しようということになりました。例えば、東京にいる人に海外の会社から電子書籍が配信された場合、以前は課税されなかったのですが、改正以降は課税されることになりました。

リバースチャージ方式が必要な理由

 消費者がどこにいるかによって消費税の課税の有無を判定するようになれば一件落着かと言えばそんなに簡単な話ではありません。そうです、海外の事業者が日本で消費税の申告をしてくれるとは限らないからです。例えば、外国人がどこか海外の南の島に会社を作って、日本人向けの電子書籍の配信を始めたとします。ある日、日本の国税庁から「消費者が日本にいるので消費税を納税してください」なんて通知が届いてもあまり効果がなさそうですね。

 そこで、2015年の消費税法改正で同時に始まったのがリバースチャージ方式で、インターネットを使って外国から日本の事業者向けのサービス(電子通信役務の提供)を行った場合には、「購入した事業者が消費税を納めてください」という制度です。リーバースチャージ方式は事業者向けのサービスに限られるのですが、例えば税込10,800円(消費税800)でインターネットを通じたサービスを受けた場合、税抜価額の10,000円を海外事業者に支払って、消費税分の800円は税務署に納税することになります。

 ところがこのリバースチャージ方式、現場の税務担当者にはなかなか正確な知識が浸透されていないようで、報道によれば数多くの申告漏れが指摘されているそうですので海外とインターネットで取引している場合は注意してください。

 一方、消費者向けのサービスはというと、リバースチャージ方式ではうまくいきません。というのも、一般消費者に、例えば海外事業者から映画を配信されたからといって「消費税の確定申告書を提出して納税してください」というわけにはいかないからです。そこで考えられた制度が登録国外事業者制度でして、これについてはまた別の機会に解説します。

※この記事の内容は、公開時の法令等に基づくものです。公開の時期については、記事の冒頭でご確認ください。

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