仏の顔も一度まで

 先日、ある病院が支給したボーナスに対する源泉所得税9,849万円の納付を忘れてしまい、納期限の2週間後に納付したところ、本来納付すべき源泉所得税の他に加算税と延滞税あわせて502万円を納付することになったという新聞記事を読みました。

 (職業病の気もしますが…)「結構大きな金額だな」と思い、私も電卓を叩いて計算してみたところ、ちょうど計算が合いました。今回のケースではミスを発見し自主的に納付をしたため、不納付加算税が本来の10%ではなく5%だったようです。
 不納付加算税:9,849万円×5%=492万円
 延滞税:9,849万円×2.6%×(14日/365日)=10万円
 合計:492万円+10万円=502万円

 うっかりミスに対するペナルティとしては厳しいなと思いましたが、それでも不納付加算税の税率が5%だったためにダメージを最小限に食い止めたのかなと思います。税の専門家としては当然なことなのですが、このような記事を読むたびに改めて税の厳しさと責任の重さを再認識し、どうやってミスを防ぐのかを考えさせられます。

国税通則法第67条第3項

 ところでこの記事を読んでいて実は「あれっ?」と思ったことがあったのですが、それが国税通則法第67条第3項と国税通則法施行令第27条の2第2項に書かれています。

(国税通則法第67条)
第六十七条 源泉徴収による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長は、当該納税者から、第三十六条第一項第二号(源泉徴収による国税の納税の告知)の規定による納税の告知に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
2 源泉徴収による国税が第三十六条第一項第二号の規定による納税の告知を受けることなくその法定納期限後に納付された場合において、その納付が、当該国税についての調査があつたことにより当該国税について当該告知があるべきことを予知してされたものでないときは、その納付された税額に係る前項の不納付加算税の額は、同項の規定にかかわらず、当該納付された税額に百分の五の割合を乗じて計算した金額とする。
3 第一項の規定は、前項の規定に該当する納付がされた場合において、その納付が法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該納付に係る源泉徴収による国税が法定納期限から一月を経過する日までに納付されたものであるときは、適用しない

(国税通則法施行令第27条の2第2項)
法第六十七条第三項(不納付加算税)に規定する法定納期限までに納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合は、同項に規定する納付に係る法定納期限の属する月の前月の末日から起算して一年前の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収による国税について、次の各号のいずれにも該当する場合とする
一 法第三十六条第一項第二号(納税の告知)の規定による納税の告知(法第六十七条第一項ただし書に該当する場合における納税の告知を除く。)を受けたことがない場合
二 法第三十六条第一項第二号の規定による納税の告知を受けることなく法定納期限後に納付された事実(その源泉徴収による国税に相当する金銭が法定納期限までに法第三十四条の三第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による委託に基づき納付受託者に交付されていた場合及び当該国税について法定納期限までに同項(第二号に係る部分に限る。)の規定により納付受託者が委託を受けていた場合並びに法第六十七条第一項ただし書に該当する場合における法定納期限後に納付された事実を除く。)がない場合

 なかなか理解するのが難しい条文ですが、簡単に言ってしまえば「源泉所得税の納付が遅れた場合でも、期限後1カ月以内に納付した場合で、1年に1回だけであれば不納付加算税は課税しません」と書いてあります。「1年に1回だけであれば」です。言い換えれば、源泉所得税の納付遅れに対して税務署の態度は「仏の顔も一度まで」です。源泉所得税のご担当者の方々はくれぐれもご注意ください。

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