ブログ

仮想通貨取引の利益にかかる税金

 最近少し気になったニュースにアメリカ内国歳入庁(IRS)が1万人あまりの仮想通貨投資家に対して「仮想通貨に対して正しく申告されていない可能性がある」との警告文を送付したというものがありました。

 いったいIRSがどのようにして仮想通貨投資家を特定したのか調べてみると、一部報道によれば仮想通貨取引所の顧客データベースを入手して特定したのではないかということでした。

 いまのところIRSが具体的にどの程度の情報を持っているか定かではありません。正しく申告している投資家にも警告文が送付されているようですので、まだ無申告や過少申告について十分な証拠を掴んでいるわけではないかもしれませんが、いよいよIRSも仮想通貨取引の課税逃れについて本腰を入れて対応を始めるのかなという印象を受けたニュースでした。

日本での課税逃れ

 仮想通貨取引による課税逃れの問題ですが、海の向こうだけの話というわけではなく日本でも大きな問題になっていて、今年3月までの数年間のうちに少なくとも100億円の申告漏れが国税当局によって指摘されていたことが明らかになっています。

 また仮想通貨のみならず、近年発展が目ざましいネットオークションなどインターネットで利益を得る個人や法人が増えてきていますが、国税当局がこれらの新しい取引を十分に捕捉できていないことや特に個人の方の税の知識が不十分なこと等によって、インターネットで得た利益が正しく申告されてない実態が浮き彫りになってきています。

 このような現状を踏まえて、国税庁は今年7月に全国の国税局・国税事務所にこれらの専門のプロジェクトチームを発足しており仮装通貨取引やネットオークション等の情報収集について力を入れていく模様です。

仮想通貨取引で得た利益の課税

 では、仮想通貨取引ではどのような場合に課税されるのでしょうか?国税庁が昨年11月に公表した「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」では、次の4種類について解説がされています。

(1)仮想通貨を売却した場合
 (例)100万円で購入したビットコインを150万円で売却した場合
   →利益50万円が課税の対象になります

(2)仮想通貨で商品を購入した場合
 (例)100万円で購入したビットコインを使って120万円の商品を購入した場合
   →利益20万円が課税の対象になります

(3)仮想通貨を交換した場合
 (例)50万円で購入したビットコインとリップル(交換時の時価60万円)を交換した場合
   →利益10万円が課税の対象になります

(4)マイニングで仮想通貨を取得した場合
 (例)マイニングでビットコイン100万円分を取得しました。マイニングにかかった経費は70万円でした。
   →利益30万円が課税の対象になります。

 端的に言ってしまいますと「仮装通貨取引で儲けたら申告してくださいね」ということなのですが、サラリーマンなど年末調整をした人で仮想通貨取引などの利益が年間20万円以下の場合は、確定申告をしなくてもよいことになっています。

個人が仮想通貨売買で儲けた場合

 仮想通貨売買で儲けた場合はご説明したとおり法人・個人を問わず課税の対象になりますが、個人の場合は所得区分など課税のルールが若干ややこしいので補足説明しますと、個人による仮想通貨売買の利益は原則として雑所得として取り扱われます。

 では雑所得として取り扱われるとどうなるかといいますと、仮装通貨売買の利益に給与等の他の所得と合算して所得税と住民税が課税されることになります。所得税の税率は所得金額に応じて5%~45%、住民税は10%と一律に決まってきますので、仮想通貨売買と他の所得との合計額に応じて15%~55%の税金(復興特別所得税を含めると15.105%~55.945%の税金)が課税されるというわけです。

所得税と住民税の速算表
所得1,000万円の場合、1,000万円×43%-1,536,000円=2,764,000円と計算します

 例えば事業をしていたり会社の役員をしていたりなどで所得が多く既に55%の税率が適用されている方の場合は、仮想通貨で1,000万円儲けても550万円を納税することになるので手元に残るのは450万円だけです。

 また、雑所得は他の所得と相殺することができません。例えば給与所得500万円のサラリーマンが仮想通貨売買で300万円の損失を出した場合、差し引き200万円しか所得がないわけですが、給与所得の500万円にはきっちりと課税される一方で仮装通貨取引の損失300万円は税金の計算上は無視することになっています(仮装通貨売買以外にも雑所得がある場合は雑所得同士で相殺できます)。

 つまり、仮想通貨で1億円の大儲けをしたとしても約半分は税金として持っていかれ、大損した場合には税金の計算上無視される。仮想通貨売買に対する税制はなかなか厳しいです。

FXに対する課税との違い

 ところで、先日ある友人から「FXでぼろ儲けしたから会社辞めようかな」という何ともうらやましい話がありました。会社を辞めようかという程ですのでおそらく相当な金額(億円単位?)の利益だと思います。そこでちょっと考えてみたいのがFXの課税の仕組みでして、仮想通貨もFXもネット上で現金のようなものを売買して利益を得るという点ではよく似ていますが、両者の課税の仕組みは大きく異なります。

 というのもFXの利益も仮想通貨と同様に雑所得になるのですが、仮想通貨売買のように所得金額に応じて15%~55%の税率が適用されるのではなく、一律に20%の税率 (復興特別所得税を含めると20.315%の税率) が適用されることになっています。また、損失が発生した場合には翌年以降3年間繰り越すことが認められています。

 つまり私の友人、いくら稼いだか正確には教えてくれませんでしたが、1億円だとしても約8,000万円が手元に残る計算になります。税金のことまで考えてFXに投資していたかは定かではありませんが、いずれにしても羨ましい話です。

関連記事

  1. 出張旅費を使った節税
  2. 税理士試験について思うこと
  3. 大企業は税金を払っていない?
  4. 税務調査って何?来たらどうする?
  5. 消費税増税の経過措置とは?
  6. 税理士 vs AI?
  7. G20でも議題になったデジタル課税とは?
  8. 税理士登録完了!
PAGE TOP