ソフトバンクの還付金とは?

 7月2日に財務省が発表したデータによれば、2018年度の一般会計のうち国の税収は60兆3563億円とバブル期にあたる1990年度の税収60兆1058億円を超えて過去最高を更新しました。予算対比で見てみますと、税収の予算額が59兆9280億円でしたので、予算額に対しても4283億円上振れした模様です。

 これは企業業績が好調だったため法人税の税収が伸びたことに加えて、給与や配当金の増加によって所得税も伸びたことが大きな要因のようです。

ソフトバンクに還付金?

 ところが、いくつかの新聞では「2018年度の税収にはソフトバンクグループが子会社から受け取った配当金に対する所得税4000億円が含まれていて、2019年度には還付される見通し」と報道されていました。なんと、4000億円の還付とは。「さすがにソフトバンクグループはスケールが違うな!」と感心したのですが、この記事だけでは具体的に何があったのかちょっと分かりにくいので解説したいと思います。

 お金を稼いだ場合には税金が課税されるわけですが、法人と個人とでは課税される税目が異なります。法人の場合は法人税個人の場合は所得税です。これ以外にも課税される税金はあるのですが、ざっくりと説明すると、稼いだお金に対してこの二種類の税金が課税されます。

 ところが、ここでもう一度新聞に戻ってみると「 2018年度の税収には ソフトバンクグループが子会社から受け取った配当金に対する所得税4000億円が含まれていて …」と報道されています。「あれっ、法人の場合は所得税ではなく法人税が課税されるのではなかったっけ?」と思われるかもしれませんが、ここがこの記事のミソです。

 法人には法人税が課税されるので、原則として所得税は課税されません。ただし、配当金や利息などを受け取った場合には、法人・個人を問わずに所得税を源泉徴収されるルールになっています。つまり、法人が配当や利息などを受け取った場合、最初に所得税が源泉徴収されて、さらに法人税の確定申告をしなければならないということです。

 ただし、これをそのまま放っておくと、配当や利息に対して所得税と法人税が二重に課税されてしまうため、法人税の確定申告のときに源泉徴収された所得税は返してもらえる(法人税額から控除または還付される)ルールになっています。これを所得税額控除といいます。

 ソフトバンクグループは3月決算ですので、例えば2018年6月に配当金を受領していれば、2018年度に所得税が源泉徴収されますが、2019年度(2019年4月以降)に入ってから行われる法人税の確定申告で源泉徴収されていた所得税が返されるわけです。この仕組みによって、新聞記事にあるように、2018年度の所得税が2019年度に還付(法人税から控除)されることになるのです。 いずれにしてもスケールが大きな話ですね。

所得税額控除の仕組み。全額を控除(還付)できない場合もあります。

 なお、法人が受け取る配当金は受取配当等の益金不算入制度によって原則として法人税が課税されませんが(課税されるものもあります)、この制度については改めて解説したいと思います。

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