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G20でも議題になったデジタル課税とは?

 G20(主要20カ国・地域首脳会議)で議題になったことの一つに国際間のデジタル課税があります。これはGAFA(Google, Apple,Facebook,Amazon)のようなグローバルでビジネスを展開する多国籍IT企業への課税について主要国での共通ルールを作ろうという取り組みです。

現在の国際的な課税のルール

 もちろんこれまでも多国籍企業はたくさんありましたので、多国籍企業に対しては工場や販売店などの物理的な拠点(PE:恒久的施設)がある国で課税しようということで国際的な課税ルールが整備されいます。

 我が国の主要産業である製造業では国内で製造した製品を海外に輸出販売していますが、例えば日本の工場で製造した製品を米国の販売店に輸出して、米国の販売店が顧客に販売するのであれば、工場と販売店のある日本と米国の双方でそれぞれ適切な方法で利益計算をして課税されることになります。

他国籍IT企業の登場

 従来からあった産業に対して、近年GAFAに代表される多国籍IT企業が台頭しています。例えばSNSや検索エンジンを私たちは無料で利用できますが、これは運営する多国籍IT企業がユーザーのデータを集め、それぞれのユーザーに最適な広告を出すことによって広告収益を獲得しているからです。

 ところがここで新しい国際課税の問題が生まれてしまいました。それは、日本国内でも非常に多くの方がSNSや検索エンジンを利用されていますが、現在の国際課税のルールでは日本国内に物理的な拠点がなければ原則として課税できないということです。

 例えば多国籍IT企業の拠点が税率の低い国(軽課税国)にあった場合、日本の会社がそのIT企業に日本向けの広告を出してもらったとしても、日本では課税できません。

 多国籍IT企業の中には日本に現地法人を設立して、倉庫や営業所などの拠点を構えているものもありますが、こういった場合でも現地法人の役割は物流や営業活動の下請に過ぎないとされているようです。その場合、現地法人の取り分は経費に少しの利益を上乗せた程度となり、現地法人が所在する国での納税額は非常に少ないものになってしまいます。

 日本でビジネスを行っているからには日本で適切に納税してもらいたいものですが、現行の税制がこれらの新しいビジネスに対応しきれていないことが浮き彫りになっています。

今後の展開

 現在、2020年に新しい課税ルールの合意を目指して国際的な議論が進められていますが、国によってそれぞれ主張が異なるため一筋縄にはいきそうにありません。

 例えば、多くのSNS利用者がいるにも関わらず十分な課税ができていないと考えている欧州では、国ごとの利用者数に応じて課税するべきといった主張がなされていますし、その一方で、GAFAの本国である米国ではブランド力や顧客データなどの無形固定資産を持つ国(つまり主に米国)で課税すべきだと主張しています。さらにインドなどを始めとする新興国では多国籍IT企業が各国に保有する資産や従業員数等に応じて課税するべきだと主張しています。

 各国ともに自国の税収を増やしたいという思惑があるわけですが、少なくとも現行の課税ルールでは税逃れが発生してしまっているので、速やかに公平な課税ルールの整備が望まれます。

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