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グローバル企業が気にする移転価格って?

これまで欧州系のグローバル企業を含む大企業で長く税務担当をしてきましたが、世界各国で企業の利益に対する税率は大きく異なりますので、グローバル企業の節税を考えるとき、どこの国で税金を納めるかは大変重要です。

例えば日本の企業利益に対する税率(実効税率)は30.62%ですが、英国では19%ですので、グローバル企業としては日本で税金を納めるより英国で納めた方が節税できるというわけです。

このような各国の税率の違いを極端に利用したものがタックスヘイブンで、タックスヘイブンとして有名なケイマン諸島の税率は0%です。近年衝撃を与えたパナマ文書によって世界中の富裕層や政治家などがタックスヘイブンを使った節税をしていたことが明るみになりましたので、ご存知の方も多いと思います。

とはいえ、タックスヘイブンとなるとかなり極端で意図的な節税でして、グローバル企業であればみんなタックスヘイブンを使っているかと聞かれれば、そんなことはないと思います。

移転価格とは?

これに対して多くのグローバル企業が考えないといけないのが移転価格です。移転価格とは取引価格のことで、グローバル企業には世界各国にグループ会社があるため、グループ会社間の取引価格をいくらにするかによって、どこの国に税金を納めるかが変わってきます。

例えば日本の親会社が電子機器を製造し、これをイギリスの子会社が販売したとします。親会社での製造コストが1,000万円で、顧客への販売価格が1,500万円だとすれば、親会社と子会社の利益は合計500万円になります。

親会社の製造コストが1,000万円、顧客への販売価格が1,500万円ならば、
親会社と子会社合わせて500万円の利益

ここで問題になってくるのが、親会社が子会社にいくらで販売するかです。極端な例ですが、1,500万円で販売したとすれば500万円の利益全てが親会社の利益になります。

親会社から子会社への販売価格が1,500万円の場合

一方、親会社から子会社への販売価格が 1,000万円であれば500万円の利益全てが子会社の利益になります。

親会社から子会社への販売価格が1,000万円の場合

親子会社間の取引の場合、取引価格は親会社が自由に決められますので、日本の税率が30.62%、イギリスの税率が19%ということを思い出せば、親会社は子会社に1,000万円で販売して、子会社にイギリスで納税させた方がグループ全体では節税なると考えるでしょう。

もちろん国税庁は黙っていない

しかし、実際にこんなことをすると日本の国税庁はもちろん黙っていません。日本の税率は年々下がっているというものの、それでも世界では高い方ですので、この方法を黙認してしまうとグローバル企業はどこも日本で税金を納めてくれなくなってしまうからです。

そこで、国をまたいだグループ内取引では適正な価格で取引をしないといけないというルールがあり、これを移転価格税制と呼びます。

とは言ってもこれがなかなかの曲者で、適正な価格をどのように計算するかにはいくつかの方法があるのですが、内容によっては「これが適正な価格です」と簡単に説明するのが難しかったりします。それどころか、先のケースで言いますと、日本政府とイギリス政府はそれぞれ自国で納税して欲しいので、政府間で言っていることが違ったりします。

このあたりはグローバル企業の税務担当者として頭を悩ますところでして、バイラテラルAPA(事前確認制度)といって、不要な争いを避けるために事前に両国の税務当局と取引価格の合意を取ってから取引を開始することもよく行われます。

いずれにしても、どこの国で納税するかによって大幅に税額が変わってくる場合があるため、グローバル企業としても各国政府としても非常に重要なのが移転価格というわけです。

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